豚ホルモンからペットフード 三田の焼き肉店発案 店主桒畑さん販売「安全安心、食品ロス減も」

ペットフードを手にする桒畑亮さん=三田市西山2

 兵庫県三田市西山2の焼き肉店「もつ吉」の店主桒畑(くわばた)亮さん(53)が、レバーやハラミなどの豚ホルモンを使ったペットフードを販売している。店の売れ残りなどの食品ロスを減らし、豊富な栄養分が犬や猫の健康につながっているという。(尾仲由莉)

 もつ吉は2015年に開業し、西宮市内の食肉処理場から生肉を直接仕入れている。問屋から冷凍肉を買うのとは違い、新鮮さが特徴。一方、キログラム単位ではなく一頭分でしか購入できず、店でも冷凍しないためロスが出ることも多かった。

 ある日の閉店後、客の食べ残しをまとめて店の外に出しておくと、翌朝には消えていた。野良猫の仕業だった。「猫も肉を食べんねや」と気づき、残った肉をペットフードにするアイデアを思いついた。ただ、当時は店の切り盛りで忙しく、ペットフードへの加工や肉の保管場所の確保まで手が回らなかった。

 転機は新型コロナウイルスの感染拡大だった。客が減って1人でお店を回せるようになり、席数を減らして店を新たに仕切って倉庫スペースをつくった。「いつまたコロナ禍のようなことが起きるかも分からない。飲食店以外にリスクを分散させる意味でもペットフードを販売しようと決めました」

 ペットフードはホルモンを加熱処理し、真空パックにして冷凍する。添加物や着色料、保存料は不使用で、ビタミンや亜鉛などの栄養分が豊富に含まれ、脂分はペットの毛並みを良くするという。

 2食分が入った1パック(80グラム)で660円など。栄養補助食品として他のペットフードに混ぜて食べさせる。ホルモンを食べに来た客が店頭で買って帰り、「うちの犬、がっつきが全然違う」と喜んでくれるなど、評判が口コミでじわじわ広がっているという。

 「食べ物を捨てることがほんまに嫌で、少しでも活用したいという思いで販売している。おいしさや安全安心にこだわっているので、知名度を上げていきたい」と桒畑さん。オンラインショップでも販売しており、インスタグラム=QRコード=で詳細を確認できる。もつ吉TEL079.559.6229

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