佐野市文化会館を大規模改修 設備更新で機能充実へ 新年度から休館、27年4月再オープンへ

大幅改修される佐野市文化会館

 【佐野】市最大の文化・芸術の活動拠点「市文化会館」(浅沼町)の大規模改修事業が新年度から本格化する。開館から40年超が経過して設備の老朽化などが進んでいるためで、施設の長寿命化に向けて市は安全性の維持・向上とともに、各種設備を更新し機能の充実を図る。4月から3年間休館し、2027年4月にリニューアルオープンする。

 同文化会館は鉄骨鉄筋コンクリート造り地上3階、地下1階で延べ床面積は約7500平方メートル。大ホール(1216座席)をはじめ小ホール、展示室、会議室・和室などを備えている。

 市は現施設の耐震診断や劣化調査で、建物の主要な構造部分の状況が良好なことなどを確認。建て替えではなく、劣化の抑制、耐震性の維持によって施設の長寿命化と安全性、快適性の向上を図る大規模改修を選択した。

 他自治体の実例から市が試算した建て替えた場合の費用は、概算で約85億円なのに対し、大規模改修ならば約57億円。後年度に手当てされる地方債への交付税措置を見込むと、実質的な市の負担は約43億円で、大幅な負担軽減となるという。建て替えより工事期間も短く休館期間を短縮できるメリットもある。

 民間事業者に設計や建築、運営を一括して委ねる「DBO方式」で事業を進め、運営でも効率的な維持管理にもつなげるという。

 具体的な改修内容は、ホールの特定天井の改修や、屋上の防水処理、外壁のれんがタイルの落下防止工事、空調設備の更新に加えてホールの音響対策、楽屋環境の充実、客席の入れ替えなどを行う。

 展示棟ホールのラウンジ化、障がい者用トイレの改修、Wi-Fi環境も整える。市民に親しまれた赤れんが(タイル)の外観はそのままにし、機能の向上や使い勝手の改善を図る。

 同文化会館の年間利用者人数は16万人台(新型コロナウイルス禍の時期を除く)。大規模改修後について、市は「築後60年以降も、さらに15~20年以上の利用を目標に改修工事を行う」などとしている。

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