天皇即位に伴う大嘗祭に公務参加「社会的儀礼として許容される」 政教分離訴訟で請求棄却

【資料写真】京都地裁

 2019年の天皇即位に伴う祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」の諸儀式に京都府の西脇隆俊知事らが公務で参加したのは、憲法が定める政教分離の原則に違反するとして、京都府内の住民12人が知事に対し、支出された公金約37万円の返還を求めた訴訟の判決が7日、京都地裁であった。植田智彦裁判長は「社会的儀礼として許容される」として請求を棄却した。

 判決によると、大嘗祭に使うコメを収穫するため19年9月に京都府南丹市で行われた「主基田(すきでん)抜穂の儀」や、同11月に皇居で行われた「大嘗宮の儀」などに西脇知事や府職員らが参列し、京都府は給与や旅費計約37万円を支出した。

 植田裁判長は判決理由で、政教分離規定は「国家と宗教との関わり合いが社会的、文化的諸条件に照らし、相当とされる限度を超える場合に許さないとするもの」とした上で、大嘗祭には宗教的意義だけでなく、皇室の伝統行事としての意義があると指摘。府知事らの参加は「天皇に対する社会的儀礼を尽くすという世俗的なもので、特定の宗教に対する援助や助長にはならない」とし、政教分離規定には違反しないと判断した。

 判決後、原告団が記者会見し、諸富健弁護士は「不当な判決だ。天皇が行う宗教儀式は一般的な宗教儀式と異なり、憲法の厳格な解釈が必要」と語り、控訴の意向を示した。

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