人間関係でストレスになる要注意な人の特徴とは

友人でも家族でも、人は誰かとつながらずには生きていけません。

ストレスのない人間関係には憧れますが、対等なはずなのに「上下」のような窮屈さを持ち込む人には要注意。

また、自分自身も特定の誰かに強い関心を向けすぎると、その人の気持ちしだいで関係を左右されるおそれがあります。

居心地のいい人間関係には、おかしな差がありません。

リラックスした心で人とつながっているためには、何を意識すればいいのでしょうか。

人間関係に過剰な関心を寄せる人の特徴

関係は「友達」のはずなのに、なぜか自分に対してマウントを取ってくる女性。

普通の世間話もできるけど、仕事や恋人の話になると張り合うように自分が手にしているものを誇示するのを見ると、うんざりしませんか?

それでも、縁を切らないのはその人にも長所があって楽しい時間も過ごせるからで、感情のバランスが上手く取れないままでも友達付き合いを続けている、という人は多いのではないでしょうか。

近い人と接しているときにマウンティングするのは、「他人より劣ってはいけない」とその人が一方的に思い込んでいるからで、比較が生まれる場面ではとにかく「この人より自分が上」の実感をほしがります。

こちらは相手の仕事や恋人のステータスなど特に気にしてはいないのに、相手のほうがことさらに「差」を強調してくると、ストレスからいつしかそんな話題を避けて会話をするようになります。

屈折を覚えるような人とは、表面的では仲良くできても深い悩みを打ち明けたり相談したりするような距離感は持てないもの。

友人に対してマウントを取るような人は、自分が身を置く人間関係に過剰な関心を寄せているといえます。

人とのつながりで「上下」を意識するのは、自分に自信がないからです。

自信が揺らぐような話題になると、「負けたくない」という焦りからマウントを取ろうとするのですね。

相手と自分の関係に安心できていない証拠であり、その人自身が安らいで他人と一緒に過ごすことがまずできていません。

自信のなさは、マウントを取るのとは反対にこちらを持ち上げるような態度にも出ます。

こちらが恐縮するくらい性格などを褒めちぎったり、立場を称賛したり、まるで見上げるような扱いをしてくる人も、人間関係に「上下」を持ち込むことで自分の状態を安定させようとしています。

それがこちらにとって気分のいいものではない、ということがわからないのは、マウントを取る人と同じです。

手にしている人間関係に強い関心を寄せすぎると、おかしな上下が生まれるのですね。

相手との「差」を意識しないのが対等な関係

たとえば、彼氏が一流企業に勤めていたり、親が資産家で贅沢な暮らしをしていたり、自分より上の世界で生きている、と感じる人には劣等感を覚えることがあります。

「それに比べて自分は」と、卑屈になると、その人と接するときに引け目を感じてしまい、感情を抑圧したり気持ちを主張できなかったり、楽しい時間を過ごせません。

近い友人であっても職場の同僚であっても、自分と「差」を感じる人にはなかなか心を開けないものです。

逆に、明らかに自分よりつらい状態で過ごしている人を見れば、「自分のほうがマシ」と心のどこかでホッとする瞬間もあります。

「自分より下」と思える人には優しくできる、という人は実際にいますが、こんな人はその相手が自分を対等な人間と受け止めることを嫌います。

「あなたより上の私にはもっと丁寧に接するべき」のように、相手の気持ちを踏みにじるのですね。

そんな心の有り様では、つながっている人たちと気を許したお付き合いは難しく、結局は相手の状態や態度に振り回されて疲れてしまいます。

自分と「差」を感じる人とは、感情が歪みやすくなるため自分がリラックスできないのですね。

どんな状況を生きていても、人間関係に「上下」を意識しない人は、自分と他人を比べることがありません。

距離が近い人ほど自分とは違う部分に目が向いてしまいがちですが、自分と他人を比較するから「差」が生まれるのであって、仲を深めるのをみずから遮る必要はありません。

その人の状態がどうであれ、自分とは違う過去や経験があり、背負っている事情は違います。

生きてきた背景が違う人に「差」を意識しても、その人のすべてを掴むのが不可能な以上は、気にすることが自分を追い詰めるといえます。

比較は、情報を知りすぎることでも生まれます。

どんな関係でも、相手との違いではなくそのつながりを大切にする気持ちが、相手に関心を向けすぎない心の距離を作るもの。

「上下」を持ち込みたい相手から一方的に探られるのを避けるためにも、近すぎる心の接触はなるべく控えるのが、自分のためです。

「心のレベル」が同じ人

どんな人と居心地のいいつながりを築けるかといえば、「心のレベルが同じ」というのもひとつの答えになります。

レベルとは「心の成長の幅」のことで、ものの考え方や価値観、他人に対する態度などが同じ人だと、違いや差を意識することが少ないのですね。

これを「当たり前のことでは」と言う人もいますが、考え方や価値観などは表面的な振る舞いだけで本音を知ることは難しく、ある程度の信頼関係がないと「この人はこうなのだ」と実感する機会がありません。

自分と同じ考え方だと思っていたのに、ピンチのときにこちらを悪し様に責めたり自分だけ助かるような選択をしたりするのを見れば、ショックを受けるし「自分は人を見る目がないのだ」と落ち込みますよね。

「心のレベルが同じ」人は、どんな瞬間でも自分と近い選択をします。

それは、これまでの生き方や経験で得たものが自分と似た感覚であることで、「心の成長の幅」が等しいのですね。

「人は同じレベルの人としか付き合えない」とよくいいますが、外的なステータスのことではなく、心の成長が同じレベルの人だと一緒に過ごすなかで違和感を覚えないということです。

「上下」や「差」を感じないで済むのは、その人の外面ではなく内面での相性がいいから。

本心や本音を素直に伝えられる、意見が違うときも互いの気持ちを正直に口にできる、一緒に乗り越えていけることに、外的な要因は関係ありません。

どんな状況を生きていても、「心のレベルが同じ人」なら居心地のいいつながりを楽しんでいられます。

リラックスできる関係には、互いに振り回されない穏やかさがあるのですね。

信頼を深めるために

どうやってそんな人を見つければいいのか、心のレベルを確かめるにはその人のことを知っていくことが欠かせません。

性別に関係なく好意を持てる人は、自分のアンテナが引っかかる何かがあります。

それを確かめて人としての情愛に育てていくのが信頼です。

信頼は、お互いについて情報を得ていき、理解を深める姿勢が必須。

そのとき、相手との違いに怯んだり落胆したりすることもありますが、それを超えて好意を覚えるのであれば、諦めずにコミュニケーションを取っていきましょう。

自分の情報を伝えることを自己開示といいますが、いきなり内面の深い部分をさらすのではなく、好きなものや楽しいと思う過ごし方など、相手からも情報が返ってきやすい話題を選ぶのが最初です。

会話だけでなく、一緒に過ごす時間を増やすのも大切で、外での振る舞いにはその人の内心が出ます。

言動が一致するか、何かあったときにどんな選択をするか、そこで「心のレベルが同じだ」と感じることができるのが理想です。

そして、人との信頼を強くするのは一朝一夕で叶うことではなく、時間をかけて「知っていく」姿勢が大切です。

人と深い仲になる過程が待てない、早く自分の理想の関係になりたいと焦る人は多いですが、相手の気持ちを無視した関わりでは信頼は育ちません。

逆の立場になったとき、一方的に「自分を受け入れて」と迫られたらプレッシャーを感じるのと同じで、互いに無理のないペースを守ることも、忘れてはいけません。

そうやって培った好意が、居心地のいい距離感を実感する基礎になります。

上下のある人間関係は、自分がストレスに耐える側になったり相手に嫌われてしまったり、いずれ続かなくなるのが特徴です。

心に無理を強いるつながりは、潔く手放すのも自分のためといえます。

リラックスできる関係には「心のレベルが同じ」を実感できることを、覚えておきたいですね。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

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