栃木県、24年度当初予算案発表 3年連続減も過去4番目9328億円 少子化対策や女性活躍に重点

栃木県庁

 福田富一(ふくだとみかず)知事は8日、2024年度栃木県当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比458億円(4.7%)減の9328億円で、3年連続の減少となる。新型コロナウイルス対策費が減少した一方、高齢化によって医療福祉関係経費が膨らみ、総額は過去4番目の規模となった。少子化対策や先進7カ国(G7)閣僚会合開催を契機とした女性活躍の推進、グローバル展開による地域経済の活性化などに重点を置いた。

 福田知事は記者会見で「未来の鍵を握るのは子どもたちである中で、少子化の進行は待ったなしの課題。少子化対策の転換点にしたい」と強調。子育て支援だけでなく、生活や仕事、地域資源の付加価値を高める施策も充実させるとして、自身の5期目最後の編成となった当初予算案を「こどもの笑顔ととちぎの魅力フル加速予算」と命名した。

 最重点となる少子化対策では、10月開始を予定する第2子(0~2歳)の保育料の一律無償化の予算として4億1500万円を計上。男性従業員が初めて育児休業を取得した中小企業への奨励金の支給額は20万円に倍増するほか、若者らの結婚支援事業を拡充する。

 G7会合のレガシー(遺産)継承では、女性管理職の育成やデジタル分野などでの女性の雇用拡大に加え、家事分担や家事時間短縮を図る「とも家事」の普及に引き続き力を入れる。

 コロナ禍で沈んだ県内経済の活性化に向け、海外展開を積極的に進める。インバウンド(訪日客)の宿泊や長期滞在を促す取り組みを充実させるほか、経済交流の覚書を結ぶベトナムでの県内企業の活動を支援する拠点を現地に設ける方針。成長が見込まれる半導体や蓄電池関連企業の誘致、高度外国人材の受け入れやサプライチェーン(供給網)の強化も目指す。

 22年度から予算の柱に位置付けているデジタルトランスフォーメーション(DX)と脱炭素化推進も重点項目に掲げ、手厚く予算配分する。

 歳入は、堅調な企業業績を背景に法人事業税が増収となる一方、政府が決定した1人当たり4万円の定額減税の影響で県税が前年比70億円減となる見通し。さらに地方交付税と、後に国から補填(ほてん)される臨時財政対策債が計30億円減となることで財源不足が生じるため、県債発行などを通じて財源の確保を図った。

 県の貯金に当たる財政調整的基金は24年度末の残高が510億円となる見込み。臨時財政対策債を含む県債残高は24年度末に1兆1422億円となる見通し。

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