時代劇からアニメまで、劇中音楽を次々と 作曲家は東京芸大を首席卒業、作品に込めた故郷への思い

たつの市出身の作曲家・未知瑠さん(本人提供)

 兵庫県たつの市出身の作曲家、未知瑠(みちる)さん(42)がテレビドラマや映画の劇中音楽で快進撃を続けている。昨年12月から放映・公開された作品はテレビ朝日系ドラマ「マルス-ゼロの革命-」など4作品。うち3作品でサウンドトラック(サントラ)も販売されており、東京芸大作曲科を首席で卒業した才能が開花している。

 本名は佐藤(旧姓・飯田)未知瑠さん。作曲家を志した龍野高校時代に不登校になったが、当時の大学入学資格検定(大検)を経て東京芸大に進み、29歳で作曲家としてのデビューアルバムを発売した。

 「幼少期には自然や鳥の声をまねてピアノを弾き、現在も不思議な楽器が大好き」。クラシック音楽を基礎にしつつ、遊び心を持ち合わせた作風が評価され、アニメなど多くの劇中音楽を頼まれるようになった。

 NHKBS時代劇「あきない世傳(せいでん) 金と銀」は今月2日までに全8回が放映された。宝塚市出身の作家・髙田郁(かおる)さんの人気小説を原作に、商才を発揮する女性「幸(さち)」を小芝風花さんが演じる。

 サントラ収録の38曲は全て未知瑠さんが作曲した。「幸のテーマ」「天満の街並み」など場面に応じて軽快な調べや重厚な弦楽などを使い分け、インストゥルメンタルだけでも楽しめる構成だ。

 テレビ朝日系のドラマ「マルス-ゼロの革命-」(火曜午後9時)は1月23日に放映開始。道枝駿佑さん演じる高校生が大人に反逆するサスペンスを、未知瑠さんの楽曲が盛り上げる。

 フジテレビ系アニメの劇場版「映画 ギヴン 柊(ひいらぎ)mix」も1月27日に封切りされた。Eテレのアニメ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」は2020年から現在も続く。いずれも各種のサントラが販売されている。

 現在は東京都在住の未知瑠さん。22年にはウクライナ出身歌手のチャリティーコンサートをたつの市で主催した。「『あきない世傳』の主人公は摂津国(兵庫県)の出身という設定。たつのの田園風景を思いながら作曲しました」と故郷への思い入れを語った。(直江 純)

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