23年栃木県内人口推計 出生数最少1万270人 結婚、子育て支援拡充へ

 2023年に栃木県内で生まれた赤ちゃん(外国人含む)は前年から563人(5.5%)減り、過去最少の1万270人と見込まれることが7日までに、県の毎月人口推計で分かった。10年前の3分の2の水準に落ち込み、日本人の出生数は1万人を割った可能性もある。急速な少子化に歯止めをかけるため、県は結婚や子育て支援などの充実を図る方針。

 25市町が県に報告する出生数をまとめた同推計の23年1~12月分を分析した。

 月別に見ると、5月は751人で過去最少を更新。21年11月(1029人)を最後に、月間の出生数は千人以下が続いている。県東の自治体では赤ちゃんが生まれない月も増えつつあり、茂木町は4カ月、市貝町は2カ月、出生数がゼロの月があった。

 一方、出生数が最も多い宇都宮市では23年に3263人が生まれ、県全体の31.8%を占めた。県内総人口に占める同市人口の割合(27.1%)を上回り、子育て世代が都市部に集まる傾向も浮かぶ。

 厚生労働省が毎年6月発表する人口動態統計(概数)では、外国人や国外在住の日本人を除いた出生数が報告される。本県の外国人などの出生数は近年500人程度で推移しており、23年の日本人出生数は1万人を割る可能性もある。

 本県の日本人出生数は第2次ベビーブーム期の1973年(3万1785人)を境に減少局面に入り、90年に2万人を、2016年に1万5千人を割った。

 急激な人口減を受けて県は昨年8月、「とちぎ少子化対策緊急プロジェクト」を策定。結婚から妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援を充実させるとし、今秋には0~2歳の第2子の保育料無償化を始める。

 福田富一(ふくだとみかず)知事ら県執行部は当初、市町と経費を折半し、対象を世帯年収930万円未満とする所得制限を設ける方向で調整していた。しかし県議会最大会派のとちぎ自民党議員会の要望を受け、予算を4700万円上積みし、所得制限を設けずに一律で無償化することにした。

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