栃木県内、冬タイヤでもスリップ事故多発 7割はスタッドレスなど 劣化、運転手の過信原因か

雪が降る交差点を行き交う車。県内各地で冬用タイヤを装着した車でもスリップ事故が多発した=5日午後5時10分、宇都宮市駅前通り3丁目(写真は一部加工しています)

 南岸低気圧の影響で県内全域で雪が降った5、6の両日、栃木県内では少なくとも約150件のスリップ事故があり、このうち7割がスタッドレスタイヤを装着するなどの対策を講じていた中で事故を起こしていたことが7日までに、県警のまとめで分かった。

 日本自動車連盟(JAF)栃木支部は、ドライバーの過信や急ブレーキといった無理な運転、冬用タイヤの劣化などが影響したのではとみる。今後も朝晩の冷え込みで路面凍結の可能性があり、同支部は「タイヤの状態確認や運転意識を見直して」と訴える。

 県警によると、県内では5日午前9時から翌6日午前9時までに、計147件のスリップ事故が発生した。単独事故が91件で最も多く、追突が39件と続いた。事故原因となる第1当事者の車両のうち、約7割の101件は冬用タイヤを履くなど雪道対策を取っていた。

 同支部によると、地熱が伝わらない橋の上や日陰の路面は、気温が氷点下にならなくても路面が凍結しやすい。こうした場所で急ブレーキや急ハンドルなどをすると事故につながる可能性が高く、前方の車と少なくとも4秒分の走行距離を保つことを推奨。担当者は「余裕を持った運転が『急』のつく運転を避けることにつながる」と強調する。

 また担当者は事故要因の一つとして「ドライバーの心理」を挙げる。「冬用タイヤを装着しているから安心という過信が事故の元になる」と指摘した。

 タイヤの状態の確認も重要だ。大手タイヤメーカー「ブリヂストン」(東京都)によると、スタッドレスタイヤが性能を発揮するには、溝の深さに加え柔らかさも大切という。担当者は「使用期間が長いとゴムが硬くなり、十分な効きが得られなくなる」とし、店などでの硬度点検を勧める。

 保管方法も大切とし、翌シーズンに向けゴムの劣化を防ぐため、直射日光や雨水などを避けた保管を促す。

 スリップ事故は雨上がりに冷え込んだ場合も発生の可能性がある。県警交通企画課の担当者は「冬用タイヤは万能ではないので、路面状況に応じて運転してほしい」と呼びかけている。

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