24年度兵庫県予算案 若者・Z世代支援に重点 奨学金返済の負担緩和や住環境確保 震災30年、万博の機運醸成も

兵庫県の2024年度当初予算案について説明する斎藤元彦知事=県庁

 兵庫県は8日、総額4兆3018億円の2024年度当初予算案を発表した。人口減少が続く中、持続可能な兵庫づくりに向け、次代を担う若者の支援を重点化。奨学金返済の負担緩和から住環境の確保、不妊治療の補助の充実まで幅広い施策を展開する。25年に発生から30年となる阪神・淡路大震災の教訓継承や、開幕が近づく大阪・関西万博の機運醸成にも注力する。

 一般会計(2兆3390億円)は、新型コロナウイルス対策の縮小に伴って国の交付金がなくなり、23年度比で207億円(0.9%)減った。就任後3度目の予算編成の狙いについて、斎藤元彦知事は「誰もが望み通りの学び方、働き方、暮らし方ができ、『個』の力がみなぎる兵庫にしたい」と語った。

 Z世代と呼ばれる若者の応援パッケージには計91億円を投じる。柱に位置付ける県立大(本部・神戸市西区)、芸術文化観光専門職大(豊岡市)の県民無償化は段階的に拡充する方針で、大学4年生らが対象の初年度は5億1900万円を計上。最終的には年間23億円程度の予算を見込む。

 奨学金の返済支援は、補助期間を現行の5年から大幅に延長し、最長17年の補助を受けた場合は返済の実質免除も見込める。県営住宅に入居する新婚・子育て世帯の敷金を免除(家賃3カ月分)したり、不妊治療で保険が適用されない先進医療に回数制限なく助成したり、全国に先駆ける取り組みもそろえた。

 万博は24年度を「仕上げの1年」とし、体験型観光事業「ひょうごフィールドパビリオン」のプロモーションを国内外で強化する。

 震災関連では今秋から各種事業を展開し、発生30年となる25年1月を挟み、同年秋まで続ける。「忘れない」「伝える」といった従来のコンセプトに「繫ぐ」を加え、防災・減災などに取り組む地域団体への助成制度を拡充する。

 24年度の歳入のうち、県税収入は前年度から126億円増え、過去最高の9163億円を計上。6月に予定される定額減税などの影響で個人関係税が約29億円減るが、堅調な企業業績で法人関係税が198億円増える見通し。歳出では介護や医療の社会保障関係費が約146億円膨らみ、3811億円の負担を見込む。(田中陽一)

© 株式会社神戸新聞社