頑張ってくれた一本に感謝込め、こんにゃくに刺す 神戸・厳島神社で針供養

愛用した針をこんにゃくに刺して供養する参加者=神戸市兵庫区永沢町4

 使い古した針に感謝を込めて奉納する「針供養」が8日、厳島神社(神戸市兵庫区永沢町4)であった。神事には服飾関係者や和裁士ら約100人が参加。愛用した針をこんにゃくに刺し、労をねぎらった。

 江戸時代から同神社で続くとされる伝統行事。2月8日は農作業を始める「事始め」とされ、硬い布の裁縫などで折れたり、曲がったりした針をいたわるために軟らかいこんにゃくに刺すという。

 参加者らはミシン針や縫い針などを持ち寄り、分厚いこんにゃくに立てて供養。神事の後、拝殿の隣にある「針塚」に奉納した。

 奉納された針は嶋津幹二宮司(86)らによって針塚の付近に埋められる。友人と初めて訪れた兵庫県加古川市の主婦(72)は「2年前から和裁を習い、内職でもミシンを使って小物を作っている。頑張ってくれた針に『働いてくれてありがとう』と思いを込めた」と話した。(安藤真子)

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