高齢化や運転士不足進む中、物資運搬の手段確保へ 兵庫北部の養父市で薬や日用品のドローン配送実験

関宮学園から到着したドローン=兵庫県養父市出合

 兵庫県養父市は8日、小型無人機(ドローン)で医薬品などを配送する実証実験を、同市関宮地区で行った。市内の2ルートでドローンを飛ばし、それぞれ薬と日用品を運ぶ様子を報道陣に公開。荷物の配達や災害時の物資供給などで早期の実用化を目指す。(吉田みなみ)

 少子高齢化や運送会社の運転士不足が進む中、物資を運搬する手段の確保が急務となっている。市は、ドローンによる無人配送などに取り組むエアロネクスト(東京都)、陸運大手のセイノーホールディングス(岐阜県大垣市)、KDDIスマートドローン(東京都)の3社と連携し、新たな物流のあり方を探ろうと、実験を計画した。

 実験は昨年12月、国土交通省の規制緩和で可能となった「レベル3.5飛行」と呼ばれる方法で実施。地上での補助者を伴わず、立て看板も設けずに、山沿いや川の上などの人がいない場所にドローンを飛ばした。レベル3.5での飛行は同県内で初めてという。

 この日は、午前中に市と3社が連携協定を締結。午後から2ルートで配送実験を行った。

 ドローンは長さ1.7メートル、幅1.5メートル、高さ約0.4メートルで、機体重量10キロ。このうち医薬品の配送ルート(約9.8キロ)では、市立関宮学園(養父市関宮)から飛んできたドローンに、市国民健康保険出合診療所(同市出合)で約0.5キロの薬を載せ、同市轟のバス転回所へ届けた。積み荷を自動で降ろす機能もあり、バス転回所では薬の入った段ボールを地面に降ろし、現地のスタッフが轟区長に段ボールを手渡した。

 広瀬栄市長は「安定して飛行できることが理解できた。今後、多様な場所で活用できそう」と手応えを口にした。エアロネクストの田路圭輔・最高経営責任者(CEO)は「ドローン配送が日常になっていく未来を感じてもらえたはず」と力を込めていた。

 もう一つのルート(約11キロ)では、ドローンに日用品を積み、市関宮地域局(同市関宮)と出合コミュニティスポーツセンター(同市出合)を往復させた。

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