城端線・氷見線の再構築 国交相が実施計画認定 昨年の法改正後、全国初

新高岡駅前を走る城端線の列車=高岡市内

 斉藤鉄夫国土交通相は8日、富山県などから申請されたJR城端線・氷見線の鉄道事業再構築実施計画を認定した。同計画の認定は、昨年10月の改正地域交通法施行後、全国で初めて。期間は15日から10年間で、2029年度をめどに経営主体をJR西日本からあいの風とやま鉄道(富山市)に移管する。新型鉄道車両の導入や交通系ICカードへの対応、運行本数の増便など、利便性向上の取り組みも加速させる。

 実施計画は、県や沿線の高岡、氷見、砺波、南砺4市、JR西、あいの風で構成する再構築検討会が約半年で取りまとめ、昨年12月22日に国に申請した。

 利便性向上策として、現行の24両から電気式気動車などの新型鉄道車両34両に置き換え、運行本数を城端・氷見の両路線とも1.5倍に増やす。計画開始からおおむね2年後をめどに全駅で交通系ICカードに対応させるほか、移管後に両路線の直通化を図ることも盛り込んだ。

 鉄道施設などの更新、整備、修繕に関する経費は、国と県、沿線4市、JR西が負担する。経営安定支援も含めた期間中の総額は382億円で、JR西が150億円を拠出し、国からは128億円が交付される。

 高岡駅を中心に、東西南北を結ぶ鉄道路線が同一の運行主体となることで、交通ネットワークのさらなる強化が期待され、計画最終年度の33年度の利用者数は1日当たり1万2千人(22年度比25%増)を見込む。一方、路線収支は計画通りに進んだとしても、改善はみられるものの、最終年度でも7億円以上の赤字となる想定。

  ●県など「着実に推進」

 県と沿線4市、JR西、あいの風とやま鉄道は8日、計画の認定について「持続可能な路線の実現に向け、連携を密にして計画に定めた事項を着実に推進する」とのコメントを連名で出した。

  ●知事「価値ある」

 新田八朗知事は、関係者が危機感を共有し、スピード感と強い覚悟を持って取りまとめた計画とし「全国に先駆けて認定され、価値あるものと受け止めている」と述べた。富山市内で報道陣の取材に応じた。新年度は、各駅のICカード対応や新型車両の導入に向けた駅のホーム補修などに着手するとし、JR西と資産譲渡についても交渉していく意欲を示した。

 角田悠紀高岡市長は「地震で氷見線も大きな被害を受けた中で、未来を切り開いていく明るいニュースとなる」とコメントした。

 夏野修砺波市長は「一つ大きな区切りを迎えたことは大変喜ばしい。今後は関係者の皆さんと協力しながら、事業が円滑に進むよう引き続き努力したい」とのコメントを出した。

 ★JR城端線・氷見線 氷見、高岡、砺波、南砺の4市を走り、計21駅。延長は城端線29.9キロ、氷見線16.5キロとなる。JR西が公表した昨年度の輸送密度(1キロ当たりの1日平均乗客数)は、城端線2481人、氷見線2157人。

城端線・氷見線の再構築実施計画の認定について語る新田知事=富山市内

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