ボリュームたっぷりのトッピング、コクがあるのにあっさりしたスープ 100年続く名店 1番人気は「新山そば」

[胃心地いいね](763) 新山(しんざん)そば 名護市大東1-9-2

 1925(大正14)年創業の沖縄そば専門店。そば好きの間では知る人ぞ知る名店で、店内の壁には、女優の檀ふみさん、歌手の夏川りみさんなど有名人のサイン色紙がたくさん飾ってある。5日、初来店した元プロボクサーでタレントの具志堅用高さんは「懐かしい味がする」と舌鼓を打っていた。

 3代目店主の寺田郁子さん(65)は「2代目の義母、初さんから受け継いだ味を守って、一生懸命頑張ってきた。地元のお客さんが、おいしいと言ってくれるのがうれしい。今では、県内外からもいろいろな人が訪れてくれる」と喜ぶ。

 1番人気は、店名が付いた「新山そば」880円。トロトロになるまで煮込んだテビチ、三枚肉、ソーキと、昆布、揚げ豆腐をトッピングしていてボリュームたっぷり。自慢のだし汁は、豚骨、鶏がら、かつお節、昆布から取る。アクを何度もすくい取って、コクがあるのにあっさりしたスープに仕上げる。

 そばメニューは、野菜750円、フーチバー780円など7種類。フーチバーは、香りと食感にこだわり、宜野座と今帰仁の農家から特別に仕入れている。手作りコーレーグースは20年前から、島唐辛子と泡盛を継ぎ足し続けて店独特の風味になった。

 おなかいっぱい食べたい人には、ジューシーセット(900円)がお勧め。具なしそばは350円と安い。物価高騰の影響を受け、経営的に厳しいが、値上げを見合わせている。

 息子が昨年、約100年続く老舗を引き継ぐ決意をした。「安心した」と笑顔の寺田さん。それでも「仕事は見て覚えるもの。あれこれ教えない。強い気持ちで、代々伝わる味を身に付けてほしい」と期待を込めた。(北部報道部・下地広也)

 【お店データ】営業時間は午前9時~午後4時(売り切れ次第終了)。年中無休。駐車場あり。電話0980(53)3354

1番人気の「新山そば」。麺は、名護地域の特徴の平麺
「新山そば」3代目店主の寺田郁子さん(手前)=5日、名護市大東
新山そば

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