竹筒に柔和な笑み「かぐやびな」生産ピーク 心込め手作り「少しでも和んで」 上郡

手作業で仕上げられる「かぐやびな」=兵庫県上郡町高田台6

 3月3日の桃の節句を前に、夫婦びなの人形が竹筒の中でほほ笑む「かぐやびな」の生産が、兵庫県上郡町の「まつい工芸社」で最盛期を迎えている。家族や友人らへの贈り物として毎年人気で、従業員が心を込めて手作りしている。

 同社の松井宏司代表(86)が高校卒業後、人間国宝の竹工芸作家、故生野祥雲斎氏の下で修業。1989年にかぐや姫の物語にヒントを得て製作を始めた。

 かぐやびなは高さ約20センチ。2年間乾燥させた直径約12センチのモウソウチクを斜めに切り、その中で京友禅和紙で着飾った夫婦びなが寄り添う。繊細な筆致で描かれた柔和な表情で、見ているだけでほっこりとした気持ちにさせられる。

 「最近は心が痛むような出来事が続くが、少しでも和んでもらえたらうれしい」と松井さん。お手玉3個とオルゴール付きで1個5980円(送料別)。同社TEL0791.52.3913(辰巳直之)

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