愛知県・大村知事のリコール運動での署名偽造事件 事務局長の男に懲役2年を求刑 「アルバイトを多数手配するなど計画的かつ大規模で悪質」

愛知県の大村知事のリコール運動をめぐり、署名を偽造した罪に問われているリコール団体事務局長の男の裁判で、検察側は懲役2年を求刑しました。

大村知事の解職を求めたリコール運動で、団体の事務局長を務めた田中孝博被告(62)は2020年10月、佐賀市内でアルバイトを雇って有権者の氏名を名簿に書き写させ、71人分の署名を偽造した地方自治法違反の罪に問われています。

これまでの裁判で田中被告は自ら主張を述べることはせず、被告人質問も行われませんでした。

弁護側は代筆作業は事実とした上で「虚偽にリコールを成立させる考えは持っていなかった」「署名簿を返還すべきで、違法収集証拠に当たる」と主張していました。

9日に名古屋地裁で開かれた裁判で、検察側は「違法収集証拠と排除する余地はなく、被告が100万筆の署名偽造を指示するなど、リコール成立の目的で犯行に及んだのは明らか。直接民主制への信頼を大きく揺るがすもので、署名偽造のための施設を確保し、アルバイトを多数手配するなど計画的かつ大規模な犯行で悪質」と指摘しました。

また、犯行動機について「いずれ衆議院議員選挙に立候補する意向で、それに際してリコール団体会長であった高須克弥氏の後援を得ようと、リコール成立をもくろんで犯行に及んだもので、身勝手な動機に酌むべき点はない」として懲役2年を求刑しました。

今月20日に開かれる次回の裁判では、弁護側が意見を述べる予定です。

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