旧優生保護法下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、聴覚障害がある兵庫県内の女性2人が国に損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が9日、神戸地裁(島岡大雄裁判長)であった。原告側は意見陳述で「除斥期間」の適用を求める国の主張に反論した。
国側は、不妊手術から20年で賠償請求権が消滅する除斥期間が適用されるとして請求棄却を求めている。原告側の陳述要旨によると、国側は法規定上、手術を受けたことが通知される仕組みになっていたなどとして、「20年以内に訴えることができたはずだ」と主張しているという。
これに対し、原告側の羽田惇子弁護士は意見陳述で「原告は手術の通知などを受けていない」と強調。ろう者は情報アクセスやコミュニケーションに大きな困難があるため、すぐに訴訟を起こすことが難しいとの認識を示した。
また国側は、原告側が話す手術時の様子や手術痕では「不妊手術の事実は証明できていない」とも主張しているといい、羽田弁護士は「勇気を持って訴えた原告の気持ちを踏みにじるもの」と批判した。