新NISAはココだけ知っておけばOK! 投資初心者もすぐわかるメリットをお金の専門家が解説

78image/gettyimages

最近あちこちで目にする「新NISA(ニーサ)」という言葉。少額投資非課税制度「NISA」が2024年から新しくなったのですが「NISAも新NISAも複雑でよくわからない」という声を多く聞きます。そこで、節約アドバイザーの丸山晴美さんに、「ここだけ押さえておけばOK」というポイントを聞きました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2024年1月時点の取材情報を基にしています。

みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「新NISAのポイント」!

NISAの最大のメリットは利益に税金がかからないこと

「NISA(ニーサ)」とは「少額投資非課税制度」のことですが、投資運用をしていない人にとっては、少額投資非課税制度と言われてもピンと来ませんよね。

まずは、「実際NISAって何がいいの?」という点を簡単に説明しましょう。

投資をすると、通常は出た利益に対して20.315%の税金が引かれます。例えば、10万円の利益が出たら、税率約20%として2万円が引かれ、手元に8万円が残るということです。

しかし、NISAの場合は出た利益に対する税金がかかりません。つまり、まるっと10万円が自分の手元に残るので、投資の中でもお得なんです。もちろん確定申告も不要です。

これができる証券口座はNISA口座以外にありません。そこがNISAの最大の特徴であり魅力です。

新NISAは今までよりも自由に効率的に資産形成ができる

そのNISAが、2024年から「新NISA」に変わりました。主な変更点は3つです。

1つは、今までは「つみたてNISA」と「一般NISA」という2つの口座があり、どちらか一方の口座しか作れなかったのが、新NISAでは「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」と「成長投資枠(旧一般NISA)」の2つが一体化した口座になりました。

2つめは、利益に税金がかからない期間が、今まではつみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間と決められていましたが、新NISAでは無期限になったこと。

3つめは、非課税の対象となる金額の限度額が増えたこと。以前はつみたてNISAが最大800万円、一般NISAが最大600万円まででしたが、新NISAでは合計1,800万円(成長投資枠のみは1,200万円)に拡大したこと。

これにより、1,800万円すべてをつみたて投資枠で利用することもできますし、成長投資枠1,200万円を満額で利用する場合は、残りの600万円をつみたて投資枠で利用することができます。

また、成長投資枠は上場株式にも投資でき、つみたて投資枠よりも投資対象商品が多くあります。つみたてNISAの対象商品に積立投資をしながら、タイミングを見て対象外の商品にも投資できるなど、より効率的な資産形成ができるようになったのです。

投資初心者は新NISAの「つみたて投資枠」から始めるのがおすすめ

既につみたてNISAや一般NISAの口座持っている人は、自動的に新NISAに移行されますので、何の手続きも必要はありません。

これから初めて投資をしてみたいという人は、つみたて投資枠から始めるのがおすすめです。理由は、つみたて投資枠の投資対象商品は、「長期・積立・分散」に適した一定の投資信託だからです。

基本的に投資は「長期に積み立て、いろいろなタイプの商品を買ってリスクを分散させることが大事」と言われています。つまり、「一気に大きなお金を使って1つの株を買う」のではなく、「少額からでも積み立てができるつみたて投資枠で、投資信託を分散させて買った方がいい」と言えるのです。

ただし、投資信託にもいろいろな種類があります。買う際は、投資信託の中でもいろいろな商品を組み合わせるのがいいでしょう。

投資というと、まとまったお金がないとできないと思っている人も少なくありませんが、つみたて投資枠は基本的に100円からでも始められるのも魅力の1つ。まずは気軽に手軽に始めてみて、慣れたら積立金額を増やしたり、成長投資枠で個別株にチャレンジしたりしてもいいでしょう。

株価が下がった時は「商品をたくさん買える」と思って

新NISAも投資運用ですから、リスクがないわけではありません。もちろんつみたて投資枠でも時にはマイナスになることもあるかもしれません。

そういう時、投資初心者ほど焦ってすぐに解約したりしてしまいがち。しかし、積み立て投資のメリットとして、価格が下がった時は「投資商品を多く買える時」と、プラスに考えることもできます。

毎月一定額を積み立てて投資をしている場合、価格が高いときは買える口数は少なくなります。逆に価格が下がれば、より多くの口数を買うことができます。これはドル・コスト平均法と言って、全体の購入単価を平準化させる効果があり、長期的な資産形成を行う上で有効な投資手法と考えられています。

その点を知っておくと、投資もそんなに怖いものではないと思えるのではないでしょうか。
下がるリスクも引き受けつつ、「長期・積立・分散」で資産を増やしていくこと。そうして運用で「お金に働いてもらう」感覚を早く身につけていくことが、これからを生き抜くための資産形成の大きな助けになると思います。

※投資には元本保証はありません。損失のリスクも検討し、自己責任のうえで行ってください。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママの『お金に困らない』本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)、「お金を活かす ハッピーエンディングノート」(東京新聞)「節約家計ノート2024」(東京新聞)steady.特別編集「知識ゼロでもまるっとわかるお金の基本」(宝島社)など多数。

丸山晴美さんの公式サイトはこちら

取材・文/かきの木のりみ

© 株式会社ベネッセコーポレーション