輪島に初のボランティア 奥能登4市町で活動開始

災害ごみを運ぶボランティア=10日午前11時半、輪島市河井町

  ●市長「復興の一歩に」 40人、旅館や住宅へ

 能登半島地震で甚大な被害を受けた輪島市で10日、石川県に登録した災害ボランティアの受け入れが始まった。活動拠点となるワイプラザで出迎えた坂口茂市長は「皆さんの温かい活動が復興への一歩になる」とあいさつ。石川県内外から集まった約40人が、旅館や住宅などで家財の運び出しや災害ごみの撤去に汗を流した。これで奥能登4市町でボランティアの活動が開始した。

  ●渋滞で到着遅れる

 午前6時45分にボランティアを乗せたバスが金沢を出発した。同10時ごろに輪島へ到着する予定だったが、渋滞のため到着したのは同10時50分となった。ボランティアは手続きを済ませた後、スコップなどの道具を受け取り、活動場所に向かった。

 ボランティアは河井町の旅館や一般住宅、商店で、傷んだ畳や家財の搬出、ブロックの片付けなどに当たった。支援物資の仕分け作業に当たったグループもあった。

 参加した京都市の大学院生藤本健太さん(23)は「困った時はお互いさま。被災者のニーズに寄り添った活動をしたい」と話した。埼玉県の介護施設代表栗原志功さん(52)は「福島や熊本でボランティア経験もある。被災した方に気持ちが伝わればいい」と語った。

 傷んだ畳を搬出する支援を受けた「お宿たなか」(輪島市河井町)では、1日から営業を一部再開しており、店主の田中孝一さん(60)は「とてもありがたい。ボランティアの方が安心して寝泊まりできる場所としても提供したい」と話した。

 輪島市では2千戸以上の住宅が全壊し、計約6300戸が被害を受けた。約80件のボランティア依頼があるものの、道路や水道などのインフラが整っておらず、受け入れが難しい状況だった。2次避難で市外に出ている人が多く、活動前の現地確認や調整が進まなかったことも理由の一つという。

 災害ボランティアセンターとなる「輪島市災害たすけあいセンター」を運営する同市社会福祉協議会によると、市内では10~12日と16~19日にボランティアの受け入れが決まっている。以降は住民のニーズや受け入れ態勢の拡大に合わせ、活動する人員を増やしていくことにしている。

 県へのボランティア登録は8日時点で2万3千人を超えた。一方、輪島市を含む奥能登に向かう道路では通行止めなどの規制が多発しており、県内で1日当たりのボランティアの活動人員は10日時点で250人程度にとどまっている。

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