「東京五輪銀メダリストを破ったぞ!」”格上”を撃破したハンガリー女子代表に母国メディアが熱狂! 一方でFIBA公式は日本に「スタッツは嘘をつかない」と手厳しい指摘

痛恨の一敗を喫した。

現地2月9日、パリ五輪の出場権を懸けた「FIBA女子オリンピック世界最終予選(WOQT)」の第2戦がハンガリー・ショプロンで行なわれ、世界ランキング9位の日本は同19位のハンガリーと対戦。序盤はリードを奪ったものの徐々に突き放され、終わってみれば75-81で接戦を落とし敗北。日本のパリ五輪切符の行方は世界ランク5位・カナダとの最終戦(11日)に持ち越しとなった。

初戦のスペイン戦はスピードあるオフェンスと精度の高い3ポイントシュートが冴えまくり、世界ランク4位の格上を撃破した日本。勝てばパリ五輪行きを確定させる重要な一戦だったが、相手の高さに苦しめられ、「完全アウェー」ともいえる地元の大声援の前に劣勢を強いられた。

第1クォーター(Q)は序盤から得点を積み重ねて22-13と大きくリードするも、第2Qの中盤からハンガリーにリバウンドをとられ出すと、試合は拮抗した展開に。後半も一進一退の攻防が続き、終盤に突入した。

フィジカルを活かしたハンガリーの攻撃に日本は攻略法を見い出せず、林咲希を中心に初戦でチーム全体15本を決め、成功率37.5%を記録した3ポイントもなかなか決まらず、リズムは悪化。逆にハンガリーに外からシュートを射抜かれるなど徐々にリードを許していく。ダブル司令塔の宮崎早織、山本麻衣がアシストや3ポイントなどで反撃するが、ホームの強烈な応援で奮闘するハンガリーに突き放され、万事休した。
世界ランキングで「格上」の日本に勝利し、貴重な一勝を得たハンガリー。母国の勝利に会場は狂喜乱舞し、地元メディアも手放しで称えている。スポーツ専門メディア『Sportal.hu』は「なんてことだ! ハンガリー代表が東京五輪銀メダリストを破ったぞ!」と速報を打ち、普段はサッカーのニュースを中心に配信している同メディアも、この日だけはトップニュースで大々的に報じている。

記事では「ハンガリーは日本を破り、パリへの一歩を踏み出した。第1Qはあまり良くなかったが、ノルベルト・セケリHCのチームは、オリンピック銀メダリスト相手に素晴らしいプレーを見せ、拮抗した試合展開のなかでライバルを6点差で下した」と記し、格上と見ていた日本相手の快勝劇を喜んだ。 ホスト国の勝利にFIBA公式も驚きを隠せない。「開催国のハンガリーが、81-75で日本に劇的な逆転勝利を収め、世界最終予選の初勝利を飾った。オリンピックへの望みをつなぎ、これで最終戦を前に『死のグループ』の全チームが1勝1敗で並ぶという、信じられないようなセットアップとなった」と混戦模様を伝えている。

一方で、惜敗した日本については「初戦のスペイン戦でセンセーショナルなプレーを見せたが、ハンガリーにハーフコートで主導権を握られ、自分たちのテンポでゲームを作れず苦戦を強いられた。決して悪いパフォーマンスではなかったが、勝利を逃す結果となった」と敗因を指摘している。

加えて、「ハンガリーは日本の3ポイントを28本に抑え、日本の成功率は平均的ともいえる33%となった。それに対して、ハンガリーの3ポイント成功率は日本をわずかに上回っている。また、ハンガリーはベンチメンバーの得点が日本の10点に対して40点、リバウンドも日本の23本に対して43本と両方で大きく上回った」と鋭く分析。「スタッツは嘘をつかない」と手厳しい評価を下している。
最高のスタートを切ったが、地元ハンガリーに痛い黒星を喫した日本。パリ五輪の出場切符を懸けて、まさに背水の陣となる運命の一戦の相手は強豪カナダである。

構成●THE DIGEST編集部

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