「被災」人形の供養依頼続々 金沢の安江住吉神社 被災地能登から、家屋全壊で保管できず

持ち込まれた人形を供養する菅野宮司(左奥)=金沢市の安江住吉神社

 人形供養の神社として知られる金沢市北安江2丁目の安江住吉神社に、能登半島地震で「被災」した人形が続々と持ち込まれている。体が折れるなどして壊れたり、家屋がつぶれて置き場所がなくなったりしたものが多く、1月の供養依頼は例年の3倍近い50件に上った。同神社は「がれきとして捨てられる人形もあるはず。持ち込まれたものだけでも、気持ちを込めて供養したい」としている。

 安江住吉神社は2002年から人形供養を始めた。ひな人形や五月人形、縫いぐるみなどを通年で受け付けており、おはらいした後、燃やせるものは境内でたき上げを行う。

 例年、年明けの1月は新年の商売繁盛を願う地元企業の参拝などが多く、人形の供養依頼は平均して15件ほど。ところが、今年は元日の地震以降、三が日から問い合わせや持ち込みがあった。

 菅野佐登志宮司(79)によると、志賀町や宝達志水町など、被災地からの依頼が多い。地震の際に床に落ちて首や腕の折れた人形や、家屋が全壊または半壊して保管できなくなった嫁入り道具などが目立ち、郵送で供養を申し込む被災者もいるという。

 3月3日に行う人形感謝まつりでは、さらに多くの人形が集まることが予想される。菅野宮司は、2007年の能登半島地震でも供養の依頼が増加したことを振り返り「あの時も今回も、能登の人の人形を大切にする気持ちを感じ、背筋が伸びる思い。一層、気を引き締めて供養したい」と話した。

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