栃木県の高齢者「かむ力」は全国最下位 「むせる」「口渇く」など平均上回る ロッテ調査

 ガムの製造販売などを手がける製菓大手ロッテ(東京都新宿区)は10日までに、全国の高齢者を対象に実施した「かむこと」の実態調査結果を発表し、栃木県の「かむ力」は最下位の47位だった。「むせる」「口の渇き」といった口腔(こうこう)機能の低下に関する質問で全国平均を上回ったほか、かむことを意識していない割合はやや高かった。専門家は「かむことを意識してゆっくり食べて」と呼びかけている。

 調査は2023年12月5〜11日、インターネット上で実施し、全国47都道府県の65〜80歳計2350人が回答した。「かむ力」の都道府県ランキングは、主に(1)かむことへの意識(2)夕食時1口当たりのそしゃく回数や食事時間(3)口腔機能の軽微な低下などを含む「オーラルフレイル」の状態-の3要素について、健康に好ましいとされる順序に点数を割り振り、偏差値を算出した。

 栃木県の偏差値は31。首位の高知県は77で、2位タイの埼玉、兵庫、福岡県は69だった。隣県の茨城県は50で20位、群馬県は40で39位だった。

 質問項目ごとにみると、栃木県の回答者は口腔機能の衰えをうかがわせる結果が目立った。「お茶や汁物などでむせることがある」と答えた割合は50.0%で、全国平均を19.7ポイント上回った。「半年前に比べて固いものが食べにくくなった」(48.0%)、「口の渇きが気になる」(44.0%)といった項目でも、全国平均よりも10ポイント以上高かった。

 また、かむことへの意識では「あまり意識していない」「まったく意識していない」が、全国平均をやや上回った。夕食の食事時間は、「15分未満」が全国平均より8.0ポイント高い24.0%に上るなど、“早食い”の層がやや目立つ。

 県民性について詳しいノンフクション作家の岩中祥史(いわなか・よしふみ)さんは、農業が盛んな地域性と、郷土食に耳うどんやちたけそばなどの麺類が多いことを踏まえた上で「忙しい農作業の合間に短時間でおなかを満たすには、麺類が重宝されるのも納得がいく」と分析。その上で、「栃木県の麺類に共通するのはコシの強さ。かむ力を育むにはもってこいと言える」と指摘した。

 オーラルフレイルは、介護のリスクや死亡リスクが高まるとされており、栃木県や県歯科医師会、県内の医療保険者なども予防に取り組んでいる。ロッテ噛(か)むこと研究部は、「かむことがオーラルフレイル予防の一助になると報告されている。かむことへの意識を高めるための参考にしてもらえれば」としている。

 

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