「歴史を塗り替えるか?」初優勝を狙うヨルダンにアジアメディア注視! 予想もしない快進撃に母国からは戸惑いの声も【アジア杯】

悲願のアジア制覇まで、あと1勝に迫った。

日本時間2月10日、カタールで開催されているサッカーのアジアカップは、ついに決勝戦(24時キックオフ)を迎える。中東同士のファイナルとなった18回目のアジアカップは初優勝を狙うヨルダン、大会連覇を狙うホスト国のカタールという興味深い一戦で雌雄を決する。

なかでも、鼻息が荒いのは初タイトルに燃えるヨルダンかもしれない。韓国、バーレーン、マレーシアといった難敵が揃ったグループEを3位で終えたチームは、各グループの3位の中で成績がトップ(1勝1敗1分の勝点4)となり、2大会連続でグループステージを突破した。

決勝トーナメント1回戦では、日本代表を抑えてグループDを首位通過したイラク代表と激突。後半に勝ち越される苦しい展開だったが、終盤に2得点を挙げて劇的な逆転勝ち(3-2)を収めた。

3大会ぶりのベスト8入りを果たすと、勢いはますます加速。大会初出場で快進撃を続けていたタジキスタン代表を1-0で下し、初のベスト4に進出。グループステージで同組だった韓国と準決勝で再戦すると、なんと2-0で撃破。下馬評を覆す快勝劇はアジアに衝撃を与え、ヨルダン史上初めてファイナルの切符を掴み取った。
決勝までたどり着いたチームに母国メディアの期待は高まっている。日刊英字新聞『Jordan Times』は「楽観的なファンでさえ、ヨルダンがアジアカップ決勝まで勝ち進むとは思っていなかった」と、ここまでの快進撃を振り返りながら代表チームにエールを送っている。

さらに同メディアは、モロッコ人のフセイン・アモータ監督のリーダーシップと戦術を称賛。指揮官の手腕を高く評価したうえで、「ヨルダンのトップスターたちの努力の積み重ねが、この大会で着実に自信をつけていったことも結びついている。ほとんどの選手が、アジアカップで一躍有名になった」と言及。「ヨルダンの結果は、チームの自信とファンの士気を高めている。彼らは歴史を塗り替えようとしている」と記し、初の頂点へ大きな期待を寄せている。

一方で、ヨルダンの大衆紙『Al Ra'i』は「カタールの首都ドーハに集まったアジアのスポーツメディアはヨルダンの功績と選手たちの傑出したパフォーマンスについて、紙面を大きく割いて報道している」と紹介している。

記事では、「各国のさまざまな放送局やジャーナリストがヨルダンの選手、監督らにインタビューや取材を求めて殺到している」と報道。「ヨルダンがどのようにして、この偉業を成し遂げたのかに焦点が当てられている」と説明し、母国チームへの注目度がグンと上がっている現状に戸惑いを隠せない。

5度目の大会出場で初のタイトル奪取を狙うヨルダン。もし優勝すれば、史上10か国目のアジア王者として歴史に名を刻む。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社