被災建物で作業「危険」 七尾・一本杉の事故で県や市

中庭にあるブロック塀が倒れた店舗=10日、七尾市一本杉町

 10日、男性がブロック塀の下敷きになる事故があった七尾市一本杉通りでは、応急危険度判定で「危険」を示す赤い紙が貼られた店舗や家屋が並ぶ。創業116年の鳥居醤油店もその一つで、営業再開に向けて修繕費を募り、片付けを進めていた。石川県や市は、被災した建物やその周辺は倒壊などの危険があり、片付けなどを行う際は十分注意するように呼び掛けている。

 一本杉通りでは古い建物が軒並み被害を受け、鳥居醤油店や「髙澤ろうそく店」など国登録有形文化財5軒が損壊。七尾が舞台の人気漫画「君は放課後インソムニア(君ソム)」に登場する中山薬局は全壊した。

 一本杉通りでは長期化する断水の影響もあり、営業再開のめどが立たない店舗が少なくない。とはいえ、店舗関係者が「店を片付けないと何も始まらない」と話すように、作業を進める住民が多い。

 一本杉通りで活動するボランティアチームを設立した大星正嗣さん(78)=亀山町=は「安全を第一に活動するしかない」と話した。

 鳥居醤油店は1908(明治41)年に建設された土蔵造りで、建物は大きく傾き、こうじを育成する「室(むろ)」、もろみを熟成する「蔵」では土壁が崩れた。ただ、建築士からは建物の修復は可能と診断されたという。

 県災害対策ボランティア本部は一般ボランティアの二次災害を防ぐため、応急危険度判定で「危険(赤色)」「要注意(黄色)」と判定された建物には派遣していない。

 七尾市もボランティアに対しては「危険がある建物内に近づかないように求めている」としている。

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