富山県射水市の新湊漁協に所属するカニかご漁船「久栄丸」が10日、新湊漁港で能登半島地震後初めてベニズワイガニを水揚げした。新湊のベニズワイガニ漁は地震で沖合に設置したかごを失うなどし、漁船3隻のうち1隻しか出漁していない時期もあった。久栄丸の漁再開で40日ぶりに発災前の態勢を取り戻した。
久栄丸船主の塩谷久雄さん(63)は、地震による海底地形の変化などで仕掛けていたかごを全て流された。1月末に仕掛け直し、水揚げは昨年12月30日以来。漁の最盛期に1カ月余りを棒に振った格好となり、45年のカニ漁歴で「こんなに休んだのは初めて」という。
今回仕掛けたポイントは地震の影響が少なかったとみられ「水揚げ量は地震前と同じぐらいで、大きさも十分。出発前は気が重く、期待していなかっただけに、うれしさもひとしお」と笑顔を浮かべた。
今季操業している3隻のうち、被害の小さかった「翔冠丸」は発災後も操業を続けた。久栄丸と「高志丸」は休業し、高志丸は8日に出漁した。
船がそろった一方、漁場によっては地震前のようにカニがかごに入らないため、手探りが続く。漁は5月ごろまでで、塩谷さんは「自分や乗組員の生活が懸かっている。今後もきょうのようにたくさん捕れてほしい」と願った。