春を呼び込む勇壮な一斉摺り4年ぶり復活 南部地方えんぶりが青森県南部町で開幕

4年ぶりに参加し、南部芸能伝承館屋外広場の一斉摺りで摺りを披露する玉掛えんぶり組

 青森県南地方に春を呼ぶ伝統行事の南部地方えんぶりが10日、南部町を会場に2日間の日程で開幕した。名川中学校を含む町内七つのえんぶり組のほか、ゲストとして妻神えんぶり組(八戸市)が参加。南部芸能伝承館屋外広場では4年ぶりとなる一斉摺(ず)りも披露され、勇壮で力強い摺りや子どもたちの祝福芸が見物客を楽しませた。

 南部地方えんぶり保存振興会(金澤正一会長)が主催。午前8時から剣吉諏訪神社で神事が行われ、剣吉えんぶり組メンバーが白い息を吐きながら舞を奉納。各組は、交通規制が敷かれた剣吉上町-南部芸能伝承館の区間を練り歩いた。伝承館屋外広場では、そばやせんべい汁、甘酒などが提供され、見物客は体を温めながら舞に見入った。

 伝統芸能の担い手不足が課題となる中、金澤会長は開会セレモニーで「指導者の高齢化や後継者不足など厳しい問題に直面している。やってみたい、面白そうと思ったら気軽に参加を」と呼びかけた。

 玉掛えんぶり組(佐々木義勝代表)は1月上旬から週2回の練習を重ね、約20人が出演した。メンバーの体調不良で昨年は参加を見合わせており、コロナ禍に伴う中止期間と合わせ4年ぶりの参加となった。佐々木代表は「最初からやり直すような形で、感覚を取り戻すのに苦労したが、何とか復活できた」と感無量の面持ちで話した。

 最終日の11日は、各組が町内で門付けなどを行い、ジャックドセンターで午後1時から片岸えんぶり組が、名川チェリーセンターでは午前11時から剣吉えんぶり組、午後1時半から高瀬町内会えんぶり組が摺り、舞を披露する。

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