「メッシ欠場に対する報復だ」中国での親善試合中止にアルゼンチン・メディア愕然! 香港出ず→神戸戦出場の騒動は「物議を醸す」と指摘

スーパースターの「欠場」は、思わぬところにまで飛び火している。

中国・北京市のサッカー協会は、3月26日に北京で開催予定だったアルゼンチン代表とコートジボワール代表の親善試合中止を発表した。同協会によると、「リオネル・メッシが出場する予定だった試合は、当分の間、北京で開催する予定はない」とキッパリ答えている。なお、同月18日に杭州で行なわれるナイジェリア代表との親善試合もキャンセルが発表されている。

中国で2試合開催される予定だった2022年カタール・ワールドカップ王者の突然の試合中止。無論、メッシの母国アルゼンチンのメディアからは戸惑いの声が上がっている。日刊紙『La Prensa』は「メッシ欠場に対する報復として、代表チームの親善試合がキャンセルされた!」と強烈な見出しを打ち、中国側の一方的な対応に驚きを隠せないでいる。

「ワールドカップ(W杯)王者は北京でコートジボワールと対戦する予定だったが、中国はこのイベントの開催から手を引くことを決めた。北京での発表は、杭州のスポーツ当局がアルゼンチン対ナイジェリアの親善試合をキャンセルした翌日に行なわれた」
事の発端は、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシの「不出場」が大きく関係している。サッカー界のスーパースターが所属する米メジャーリーグサッカーのインテル・マイアミが2月21日のMLS開幕を前にアジアツアーを敢行。サウジアラビアで2試合、4日には香港で香港リーグ選抜と、7日には東京・国立競技場で昨季のJリーグ王者ヴィッセル神戸と親善試合を行なった。

至極当然、ファンのお目当てがメッシであったことは言うまでもない。だがメッシはこのアジアツアーの中で唯一、香港選抜との親善試合には脚の故障を理由に、最後まで出場しなかった。

これが香港のサッカーファンの怒りを買った。試合途中からメッシの試合出場を求めるかのように観衆から大ブーイングが起こり、後半アディショナルタイムには「返金!返金!」「メッシはどこだ?」といった野次が飛び交うなど、怒りが最高潮に達し、スタジアムは罵詈雑言に包まれた。

試合後には中国メディアを中心にメッシやインテル・マイアミに対して憤怒の声が多数寄せられた。香港政府もこの異常事態を見過ごすことはできず、「メッシが今日の試合(4日)に出場しなかったことについて、政府だけでなく、すべてのサッカーファンが主催者側の取り決めに非常に失望している。主催者はすべてのサッカーファンに説明する義務がある」と遺憾を示す異例の声明を発表した。 ところが、中国・香港のサッカーファンの怒りの拍車をさらにかける事態が起きた。香港選抜戦から3日後、日本で行なわれた神戸戦で脚を故障していたメッシが60分から途中出場を果たしたのだ。スーパースターは巧みなボールさばきで、国立競技場に集まった日本のサッカーファンを大いに沸かせ、復調をアピールした。

当然、スーパースターが躍動するプレーを間近で見られなかった香港のサッカーファンは怒りが爆発。メッシのSNSのコメント欄には中華圏の言語や英語による誹謗中傷が相次いだ。中国メディア『捜狐』は「香港遠征では、メッシのファンに対する態度があまりにも酷かった。メッシは60分に途中出場して、日本のファンを喜ばせた。ふざけているのか! この違いは本当に残念だ」と非難。香港での振る舞いを猛烈に批判した。
アルゼンチン最大の全国紙『clarin』はメッシが香港選抜との親善試合を欠場した余波が、代表チームの活動にまで影響していると懸念を示している。同紙は「アルゼンチン代表の中国遠征が危機に瀕している」と報じ、中止発表に衝撃を受けている。

加えて、騒動の要因を分析。「コパ・アメリカへの準備期間として予定されていたナイジェリア戦、コートジボワール戦の2試合が中止決定された。カタールW杯のMVPが東京で行なわれたヴィッセル神戸との親善試合で30分間プレーしたことも物議を醸している」と言及。日本でのプレーが試合中止の引き金のひとつになったと指摘している。

親善試合におけるスーパースターの出場・不出場を巡る騒動の余波は、いまだ収まる気配がない。

構成●THE DIGEST編集部

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