日本代表、アジアカップで「ノーインパクト」に終わった5名

カタールが連覇を達成したアジアカップ。3大会ぶりの優勝を目指した日本だが、準々決勝敗退という結果に終わった。

5試合を戦い、3勝2敗。12得点に対して8失点はやはり攻守のバランスを欠いた数字と言わざるをえない。

そんな今回のアジアカップにおいて、「ノーインパクト」に終わった日本代表選手を5名ピックアップした。(※出場がなかった前川黛也と野澤大志ブランドンは除く)

渡辺剛

渡辺剛は今季加入したヘントでアジアカップまで全試合にフル出場。チームも当時3位につけており、27歳のDFはまさにチームの大黒柱と言える存在だった。

しかし、A代表で初の大舞台となったアジアカップでの出場は、グループステージ3戦目のインドネシア戦のみ。それも2-0から冨安健洋と交代で入った82分からのプレーだった。

空中戦の強さはおそらく日本人トップ。スピードのある相手への対応力も高いため、ストッパーとしては非常に優秀だ。ただ、ビルドアップに関しては向上の余地が大きく、日本代表では現状守備固めでの起用が主となっている。

となれば、センターバックしかできない渡辺で「あるべき理由」は少ない。それが招集回数や出場の少なさにつながっており、代表で地位を確立するためにはさらなる成長が求められる。

町田浩樹

第2次森保体制では昨年9月以降代表に定着している町田浩樹(※3月シリーズも冨安に代わり追加招集)。クラブでも今季、リーグ首位のユニオン・サン=ジロワーズでスタメンを確保している。

自信とともに臨んだアジアカップであったはずだが、プレーしたのは先発フル出場したインドネシア戦。その中で、格下相手にもかかわらず終了間際の失点に絡むなど怪しい場面がいくつかあった。

なにより拙かったのはビルドアップ。ベルギーで縦パスの入れ方は上達した一方、横パスの“意味”を理解しておらず、左右の足を使い分けながら高い意識で次のプレーに繋げるライバル谷口彰悟との差は明白だった。

それらがイラン戦、森保一監督が交代を躊躇する要因になった可能性もある。「190cmの左利きセンターバック」はそれだけで価値があるが、まだまだ能力で勝負している感は否めない。

佐野海舟

遠藤航、守田英正、田中碧が高いパフォーマンスを発揮してきた中盤に現れた23歳の新星。追加招集された昨年11月のミャンマー戦でデビューすると、すぐに自らの持ち味を発揮してみせた。

田中が招集外となった今回のアジアカップでは遠藤と守田の負担を軽減させることが期待されたが、終わってみればベトナム戦とインドネシア戦で途中出場したのみだった。

佐野海舟の課題は明らかで、遠藤、守田、田中、そして旗手怜央と比べた際に、立ち位置の質で劣っている。ボランチというポジションは出ていく積極性以上に出ていかない中でのプレーが肝だ。

個としては局面での技術と強さに長け、ボールを運ぶ力やパスの能力も持っている。それだけに、もっと相手を見てプレーすることができればより重要な存在になっていくことだろう。

三笘薫

怪我を抱えた状態で招集された三笘薫。グループステージ3試合は欠場したものの、ドレッシングルームなどでチームメイトへ熱心に声をかける姿が「Team Cam」にとらえられていた。

迎えたラウンド16のバーレーン戦、67分から中村敬斗に代わり初出場すると、徐々にリズムをつかみ、三笘らしいドリブル突破から浅野拓磨へラストパスを送るシーンもあった。

ここから「三笘薫の大会」になることを多くの人が期待したが、イラン戦は同じく67分からの出場で、難しい状況に陥ったチームを好転させることができなかった。

プレミアリーグ同様三笘が複数人で対応された時に、チームとして“次の一手”を打ち出せず。強力になった一人一人の個性を、相手に対してどのように生かすか。森保監督の日本代表が改めて突き付けられた大会だったと言える。

細谷真大

昨季J1で得点ランキング5位の14ゴールを記録。パリ五輪世代のエースストライカーとしてアジアカップに参戦した細谷真大だったが、出場は初戦のベトナム戦、前半45分のみに終わった。

FWは経験が少なくても途中出場で起用されやすいポジションの一つ。次のチャンスが来なかったということは即ち、それだけベトナム戦でのプレーが「足りなかった」ということだ。

スピードという強力な武器を持つ一方、動きに工夫が少ないため、高いラインを敷いたベトナムに対して優位性を作り出せず。後半から入った上田綺世との差は明らかだった。

日本代表、アジアカップで評価を下げてしまった5名の選手

所属する柏レイソルは現状、シンプルに細谷のストロングを生かすサッカーを展開している。この冬も移籍が話題になった22歳だけに、成長のため新たな環境へ移る日は近いかもしれない。

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