野菜のホープ(2月12日)

 野菜のホープ誕生か。農林水産省は2026(令和8)年度、消費量が多い品目を対象にした指定野菜にブロッコリーを加える。生産量を増やし、価格の変動を抑える狙いがある。ジャガイモ以来、52年ぶりの追加という▼ブロッコリーは明治時代に伝来し、食生活の西洋化に伴い広まった。出荷量はこの10年間で3割増加した。全国で生産され、県内では県南地方で盛んに栽培されている。ビタミンCやカリウム、タンパク質を豊富に蓄え、欧米では姿形から「栄養宝石の冠」の異名を持つ▼珠玉の農産物を巡り、消費者の間で〝論争〟が沸き起こっている。茎は食べるか、廃棄するか…。議論に終止符を打つデータを、福島大と県農業総合センターの研究グループが示した。栄養成分の分布を把握できる装置を使い、茎にうま味のアミノ酸が多く含まれていると突き止めた。捨てる部分がない。SDGs時代の申し子といえる▼普段、食べない野菜の部位も、少しの手間を加えればおいしくなる。キャベツの芯はきんぴらに、ニンジンの皮はサラダに。「もったいない」の精神と響き合い、食品ロスの抑制につながる。ひと工夫すれば、台所のエコリーダーに「戴冠」だ。<2024.2・12>

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