進路に悩んだ中3の時 「やりたいことをやろう」と担任に背中を押され製作の世界へ 恩返しで母校に手作りの演台を贈る

 沖縄県立沖縄工業高校3年の赤嶺蒼空(そら)さん(18)は8日、母校の宜野湾市立真志喜中学校を訪ね、手作りの演台を贈った。赤嶺さんは真志喜中の42期生。進路に悩んでいた中学3年の時、「やりたいことをやった方がいいよ」と椋尾(むくお)勝也担任に背中を押してもらったのがきっかけで、ものづくりの世界を志した。演台はその恩返しだという。(中部報道部・平島夏実)

 赤嶺さんは、演台が古くなっていると聞いて制作を決めた。費やした期間は1年間。「課題研究」という授業で設計図を引く作業から始め、材木の加工や塗装までこなした。県立沖縄工業高校の喜屋武勝校長は「土日も登校して頑張っている姿を見ました」と明かした。

 演台の大きさは高さ110センチ、幅90センチ、奥行き60センチ。全体にウォールナットの合板を張り、中央部分の校章は立体的に仕上げた。底面にはキャスターを付けて運びやすくした。

 「校章の部分は糸のこを使いました。真ん中の『真』の字が細かくて…」と赤嶺さん。それでも「自分がイメージした形が段階を踏むうちに完成するのは、ものづくりの醍醐味(だいごみ)」と笑顔を見せる。

 真志喜中の2期生だったという同中の又吉直正校長は「母校への思いがうれしい。子どもたちにしっかり伝えますね」とほほ笑んだ。

 赤嶺さんは日本工業大学に進学予定。1級建築士か建築現場の職人を目指すという。

(左から)宜野湾市立真志喜中学校の又吉直正校長、演台を作った県立沖縄工業高校3年の赤嶺蒼空さん、同高校の喜屋武勝校長=8日、真志喜中学校
立体的なつくりになっている校章部分。真志喜中の「真」の字が中央にある

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