花粉症で鼻づまり…薬が効かない場合の治療法 手術の入院期間など医師が解説

アレルギー性鼻炎の鼻づまりの主な治療法

 今年もスギ花粉の季節が到来する。福井県内にも花粉症による鼻づまりに悩む人は多いが、薬による治療でも効果がない場合は、手術や舌下免疫療法といった選択肢がある。福井赤十字病院(福井市)の大澤陽子・耳鼻咽喉科部長に、花粉症を含むアレルギー性鼻炎による鼻づまりに対する主な三つの治療法の特徴や注意点について聞いた。

 アレルギー性鼻炎は、体内に入った花粉やほこりなどのアレルゲン(抗原)に対して免疫が過剰反応することで、無色透明の鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどを引き起こす。原因物質がない場所では症状が出ないのが特徴だ。

 アレルギー性鼻炎の鼻づまりは、鼻の粘膜から放出された化学物質が血管を刺激し、血管が拡張したり、粘膜が腫れたりして起こる。

 大澤医師は、鼻づまりはアレルギー性鼻炎以外の原因のこともあるため「市販の内服薬や点鼻薬で効果がない場合は、専門医の受診を検討した方がいい」と話す。主な三つの治療法の特徴は次の通り。

下鼻甲介レーザー焼灼術

 鼻の中には、花粉などを体内に入れないようにするひだ「下鼻甲介(かびこうかい)」があり、下鼻甲介の粘膜が膨張すると鼻の通りが悪くなる。下鼻甲介の粘膜の表層にレーザーを照射して焼灼(しょうしゃく)し、硬質化させることで、粘膜が腫れないようにする。

 大澤医師によると、原因物質にかかわらず特に鼻づまりの強いアレルギー性鼻炎に有効。局所麻酔で行うため、麻酔を含めても2時間程度で済む。日帰り手術も可能で「手軽に受けることができる」(大澤医師)メリットがあるが、鼻粘膜は徐々に再生するため、鼻づまりを抑えられるのは2~3年と限定的。

下鼻甲介骨切除術

 鼻の中に器具を入れて下鼻甲介の粘膜を切開、骨を取り除いて鼻の通りをよくする手術。鼻粘膜に深く切開を入れるため術後の鼻出血が起こりやすく、安静のため1週間程度の入院が必要。

舌下免疫療法

 アレルゲンを少量ずつ取り込んで、徐々に体を慣れさせていく治療法。アレルギー症状を根本的に改善できると期待されている。

 ただ、最低2年間、可能なら3年程度は毎日内服する必要があり、スギ花粉とダニアレルギーに対してのみ保険適用がある。アナフィラキシー(重いアレルギー反応)を起こす可能性もあるという。

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原因物質の除去が一番

 大澤医師によると、これら三つの治療法のうち、くしゃみや目のかゆみといった症状の改善につながるのは舌下免疫療法のみ。いずれの治療法も効果が出始めるのは数週間から数カ月後のため、花粉症の時期の1カ月以上前に治療を受ける必要がある。鼻づまりの程度を考慮しながら治療法を選択していく。

 また、大澤医師は花粉症での鼻づまりを防ぐには「原因物質を除去するのが一番」とも強調。マスク着用や鼻うがい、花粉の付きにくいナイロン製の上着を着るといった対策が有効だとし「花粉が鼻や目に入らないように対策してほしい」と話していた。

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