「社会の裏側で誰も犠牲にしない」全国の語り部と考える「記憶の伝承」福島・大熊町

東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から13年となるのを前に、11日、福島県大熊町で、全国各地の語り部が集まり記憶の伝承について考える催しが開かれました。

広島・平和祈念資料館のボランティアガイド・多賀俊介さん「経験していない者に何ができるのか、何を伝えられるのか。そういうことをずっと大事にしながらいろいろ考えて活動している」

記憶を紡いできた語り部たちの声に耳を傾けます。11日、大熊町には、全国各地で語り部活動に取り組む6人が集まりました。

水俣病の語り部「60年も前に水俣病は終わったと思っていた。でも、いまもたくさんの患者がいます」

戦争…、公害…、そして震災…。当時の記憶を“いま″につないできました。主催したのは、大熊町の木村紀夫(きむらのりお)さんです。木村さんは、震災の津波で当時、熊町小学校の1年生だった汐凪(ゆうな)さんを含む家族3人を亡くしました。

木村さん「災害で命を奪われないように。社会の裏側で誰も犠牲にしない。そんな世の中を作っていきたいと思いで、この2つを目標に活動している」

現在、木村さんは町内で語り部として活動していますが、震災・原発事故が過ぎ行くなかで自分1人では、担えなくなっていると話します。様々な経験を聞いた人たちが身近な人に語り継いでほしいと訴えました。

木村さん「間口を広げていくのは我々ではなく、話を聞いた人たち。みなさんが家族や友人にこういう会があり、こんな話を聞いた。そこに議論の場が出来上がっていくそうやって広がっていったらいい」

会場に足を運んだ人たちは、記憶をどのようにつないでいくべきか考えていました。

震災当時大熊に住んでいた女性「もう70になっていますけど、まだまだこれから勉強していかないと。このままで終わらせたくないなというような気持ちを感じた」

福島市の大学生「当事者ではないんですけど、語り継ぎたい。当事者ではないなりの伝え方を考え続けていくことが大切なのかな」

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