語らなかった両親を描く被爆2世の画家 「被爆者の肖像画」展 広島

被爆者の肖像画を描く広島市出身の画家の個展が、13日から開催されます。今回、初めて描いたという自らの両親の肖像画も展示されています。

広島市中区のギャラリーです。会場には47人の肖像画が並んでいます。みなさん、被爆者や被爆2世です。

肖像画を描いたのは京都在住の71歳の画家、増田正昭 さんです。

増田さんは去年、初めて両親の肖像画制作に取り組みました。

軍人だった父親の信憲さんは終戦直後、広島に戻り、入市被爆しました。

疎開していた母親の敏子さんは原爆投下の2日後、爆心地近くを家族を探して歩いたそうです。

2人は戦後、増田さんに被爆体験を語ることはなかったということです。

被爆2世の画家 増田正昭 さん
「言い方は悪いけれど、死体を踏んできたかもわからない。なんで語らなかったのか、それは語れなかった」

増田さんはすでに亡くなった両親を初めて描くことで、自分のルーツを見つめ直したかったといいます。

増田正昭 さん
「いざ、いつでもあの世に行っても悔いがないようにと。母親をデッサンしているとびっくりした、本人が出てくるように感じた」

増田さんの両親の “里帰り” ともいえる個展は、13日から広島市中区のギャラリーGで開催されます。

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