30人以上の挑戦者と立て続けに対戦 剣士が心身の限界に挑む"お情け無用立切り試合"4年ぶり開催 福島

1人の剣士が30人以上の挑戦者と立て続けに剣を交え、心身の限界に挑む剣道の「立切り試合」が11日、福島市で4年ぶりに開催されました。

倒れても、倒されても…剣士たちは何度でも立ち上がり、自らの気力・体力の限界に挑みます。

11日福島市で行われた剣道の立切り試合。「基立ち」と呼ばれる選手が、約2時間をかけて30人以上の挑戦者と立て続けに剣を交えます。「立切り」は幕末の剣術家・山岡鉄舟が編み出した剣道の鍛錬法とされています。

4年ぶりの開催となった今年、3人の剣士が「基立ち」として出場しました。

そのうちの1人が、福島県警機動隊の柏浦一輝巡査長(31)剣道五段です。
柏浦さん「こんなに長時間試合をしたことはないので、不安のほうが大きい。自分の限界を超えることで一皮むけて成長したい。」

「基立ち」と書かれた白タスキを背に午前10時、長い戦いの火蓋が切られます。

一足一刀の間合いから剣先同士がぶつかる音、そこから放たれる鋭い打突、そして剣士たちの気迫ある気合が会場にとどろきます。

一撃にかける挑戦者とそれを迎え撃つ基立ちの本気と本気のぶつかり合いです。

柏浦さんは序盤、得意のコテを中心に一本を重ねていきますが、徐々に疲労が蓄積していきます。

体勢が崩れると、挑戦者たちは「面」、「小手」、「胴」、「突き」 と容赦なく打ち込んでいきます。まさにお情け無用です。

柏浦さん「体力的というより精神的に、中盤あたりからきつくなってきた」

何度も何度も倒されます。握力もなくなり、竹刀も落としてしまいます。それでも柏浦さんは立ち上がります。「己に打ち勝つ」…その執念が自身をつなぎとめます。

気迫に応えるように、挑戦者もより一層厳しい打突で柏浦さんを攻め立てます。

そして・・・

31人との約2時間にわたる試合が終了。成績は24勝1敗6分けの3位。

柏浦さん「皆さんの声援の中で、踏ん張るぞ、という言葉があったので、それを胸に私も踏ん張らないとと思いながらやっていた。こういうつらい行事を乗り切ったということと支えてくれる方がたくさんいるということを胸に頑張っていきたい」

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