貧しさゆえに苦労…企業の社長となったOBが母校に寄付 生徒が恩返しの楽器演奏

大内社長(右端)にお礼の演奏を披露する吹奏楽部=南丹市八木町・八木中

 京都府南丹市八木町の八木中学校で、亀岡市大井町の物流会社から企業版ふるさと納税を受けて購入した楽器のお披露目式があった。卒業生でもある社長を招き、真新しいドラムセットとバスクラリネットを使って明るい音色を響かせ、感謝を伝えた。

 「JTO物流」が昨年11月、1千万円を同市に寄付した。同中学校出身の大内誠社長(51)が、貧しさゆえに苦労した経験や地域への恩返しの思いから申し込み、うち320万円は中学校の吹奏楽部で使う楽器に充てられた。

 八木中学校には1月中旬に届き、2月1日に大内社長を招いて演奏を披露。13人で「銀河鉄道999」など3曲を奏で、ドラムの歯切れの良いリズムやバスクラリネットの重厚な音色を届けた。

 以前のドラムは購入から約20年たって老朽化し、バスクラリネットも接着剤で直しながら使っていた。ドラムの1年の生徒(12)は「ぴかぴかでうれしい。たたいていて気持ちのいい音で、モチベーションが上がる」と感謝を伝えた。

 大内社長は「素晴らしい演奏を聴けてうれしい。この中学校の卒業生でよかった」と喜びを口にした。

© 株式会社京都新聞社