能登半島地震から1カ月超 専門家が指摘…家屋倒壊の要因は「耐震不足」

発生から1カ月余りの能登半島地震。多くの被害が出た石川県輪島市では、家屋の倒壊が相次ぎました。専門家は「耐震不足」が1つの要因だと指摘し、都内でも対策の必要があると、警鐘を鳴らしています。

記者:「1カ月が経ちましたが、倒れた家はそのままです」

元日に最大震度7を観測した能登半島地震から1カ月。輪島市では倒れた家屋などが道路脇に寄せられ、車が通行できるようになっていたものの、倒壊したまま手つかずの住宅が、いたるところに残っていました。そうした中…

記者:「同じ地域の隣同士に建っている家でも、1階部分が崩れている家とそのまま残っている住宅に分かれている」

輪島朝市の近くでは、崩れた住宅が目立ったものの、同じ地区に建つ木造住宅でも、倒壊を免れた住宅が見られました。さらに取材を進めると、市内のそのほかの地域と状況の異なる場所が…

記者:「2007年の地震で被害を受けて建て直した建物が多いというこの通りでは、倒壊を免れた家が多い」

2007年3月、能登半島沖を震源とする最大震度6強の地震が発生。輪島市でも家屋の倒壊が相次ぎました。その地震後に、多くの住宅が建て替えられたこの地域では、倒壊の危険性を表す「応急危険度判定」でも、被害が小さいことを示す緑の紙が張られた家屋が並んでいました。

倒壊した建物と、免れた建物。その違いはどこにあったのでしょうか。専門家は、耐震性能が一つの要因ではないかと指摘します。

京都大学 生存圏研究所 中川貴文准教授:「ひとつは建物。能登半島の建物があまり耐震化が進んでいない現状で、いわゆる旧耐震の建物が多いので、旧耐震の建物が多く倒壊したというのはある」

住宅の耐震性は1981年に基準が強化されました。「旧耐震」では震度5程度の地震を想定していましたが、「新耐震」では震度6以上でも、倒壊や損傷を受けない強度を基準としています。

この映像は「旧耐震」の家屋2棟を使い、最大震度7を記録した阪神淡路大震災の揺れを再現した実験です。柱同士を金属で固定するなど、耐震性を高める改修を行い、「新耐震基準」を満たした画面右側の家屋は倒壊しませんでした。

国は建て替えや耐震性を上げるための改修を進めていますが、輪島市の耐震化率は2022年度末時点でおよそ46%にとどまっていました。

また、専門家は建物の倒壊が2次災害として、火災を巻き起こす可能性もあると警鐘を鳴らしています。

京都大学 生存圏研究所 中川貴文准教授:「地震が起こると火事、一番恐ろしいのは。例えばご高齢の方でうちはもういいんだと思うかもしれないが、一棟でも倒壊すると街並み全体が火災にあったり道路が通れなくて緊急車両が通れないとかあるので、ぜひ自分だけのことじゃないと思って耐震補強に取り組んでいただきたい」

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