SCBの強豪フルタイム・スポーツがリンク&コー陣営とジョイント。トヨタのパラディーニは体制維持/TCR南米

 ルーベンス・バリチェロやリカルド・ゾンタ、ネルソン・ピケJr.やトニー・カナーンら、世界的ビッグネームが多数参戦するSCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”にて、長年トップチームに君臨してきた強豪フルタイム・スポーツがPMOモータースポーツとの提携を発表。今季のTCRサウスアメリカ・シリーズと併催のブラジル・シリーズにおいて、4台のリンク&コー03 TCRを走らせるとアナウンスした。

 その南米大陸を代表するTCRリージョン選手権では2024年体制が続々と確定しており、TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ謹製のトヨタ・カローラGRS TCRを走らせるパラディーニ・レーシングは、ファン-アンヘル・ロッソとファビアン・シャナントゥオーニの2台体制を継続。18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロ(スクアドラ・マルティーノ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が初タイトルを獲得したホンダ陣営は、ファン-マヌエル・カゼッラが引き続きFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのステアリングを握る。

 元F1ドライバーの“跳ね馬乗り”をエースに、SCBで2度のタイトル獲得を果たしたバリチェロを擁するフルタイム・スポーツは、ブラジルを代表するストックカー・シリーズのみならず、世界中で瞬く間にツーリングカーの勢力図を塗り替えたTCR規定カテゴリーへの進出を決めた。

 そのチーム代表を務めるマウリシオ・フェレイラは「この動きは事業拡大戦略の一環だ」と語り、ファブリツィオ・ペッツィーニとともに2022年にTCRサウスアメリカの王座を獲得しているPMOモータースポーツとのジョイント体制を敷く。

「我々は世界的な規制と多くのブランドが関与するTCRコンセプトの可能性を認識してきた。この新しいプログラムは、南米大陸とこの地域におけるTCRレースの重要性とともに、さらに成長を遂げていくと確信している」

 一方で、そのライバル陣営として準ファクトリーチームとも言えるベルナルド・ラヴァー(トヨタ・チーム・アルゼンティーナ/トヨタ・カローラGRS TCR)らと同じくトヨタ製のモデルを投入するパラディーニ・レーシングは、所属する両ドライバーの残留を相次いで発表した。

「TCRサウスアメリカに今季も参加できることを確認できて本当にうれしいよ」とカローラの初年度で合計6回の表彰台を獲得し、ランキング4位を記録したロッソ。

「2023年を個人的に評価すると、前半はやや複雑だったけど後半に向けて良くなったと思う。その成果もあって、僕らは今季チャンピオンシップを争うという挑戦に前向きだ」

「昨年は新型モデルのデビューイヤーだったし、当初の目標は達成できなかったが、今季はクルマの開発に取り組み、学んだことを反映し、目標を達成できるようこの挑戦に立ち向かうつもりだ」

SCBストックカー・ブラジル”Pro Series”にて、長年トップチームに君臨してきた強豪Full Time SportsがPMO Motorsportとの提携を発表
トヨタ製のモデルを投入するPaladini Racingは、所属する両ドライバーの残留を相次いで発表した

■ラファエル・レイスが世界初のドライバーに

 同じく僚友を務めるシャナントゥオーニも「この近年、大きく成長しているカテゴリーで自分の継続的な存在感を確認できることが重要だ」と述べた。

「2024年に向け、我々は初戦からタイトルを争うことを念頭に置いている」と、昨季は2勝を挙げてランク8位となったシャナントゥオーニ。

「このカテゴリーはとてもレベルが高く、簡単でないことは分かっている。それでもパラディーニ・レーシングとともに、両車でタイトルを目指して戦いたいと思っているよ」

 そしてチーム加入初年度の昨季は表彰台を4回獲得し、総合7位でフィニッシュしたカゼッラも、引き続き最新のホンダ車をドライブする。

「TCRサウスアメリカでの冒険を継続でき、とてもうれしく思う。このカテゴリーは僕が過去2年間レースをしてきたカテゴリーであり、その前年度にもスポットで1戦を経験したから、すでにベテランさ(笑)」と続けたカゼッラ。

「今後数週間以内にプレシーズンテストを行う予定で、すでにシミュレーターで周回を重ねており、昨年の成績を改善するために取り組んでいる。多くの競争力あるドライバーと対戦すると覚悟しているし、ハードにプッシュする必要があるだろうね」

 そんなブラジル登録も兼ねるカゼッラ同様、こちらは創設初年度から4シーズン連続での参戦を表明したラファエル・レイスは、同国を拠点とする初代チャンピオンチームのW2プロGPにて、新型『クプラ・レオンVZ TCR』のデリバリーを受ける世界最初のドライバーになることも明かされた。

 シリーズ最多となる6回のポールポジションを獲得し、通算5勝を記録するレイスは、昨季2023年も新王者モンテネグロとトヨタのラヴァーに次ぐランキング3位に滑り込み、例年タイトル争いの輪に加わり続けてきた。

 そのほか、前述のPMOのサテライトであるPMOレーシングで、昨季までプジョー308 TCRをドライブしたギリェルメ・ライシュルがW2プロGPに移籍し、新たにクプラ・レオン・コンペティションTCRをドライブ。その空いたシートにはスクーデリア・キアレッリのヒョンデ・エラントラN TCRで戦ってきたペドロ・カルドゥソが加入している。

ファン-マヌエル・カゼッラが、引き続きSquadra MartinoでFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのステアリングを握る
ラファエル・レイスは、初代チャンピオンチームのW2 Pro GPにて、新型『CUPRA León VZ TCR』のデリバリーを受ける世界最初のドライバーとなる

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