かつての本拠地で大ブーイングを浴びたアーセナルMFライス、ゴラッソ直後の振る舞いは古巣に敬意【現地発】

2月11日、ロンドン・スタジアムで開催されたプレミアリーグ第24節ウェストハム対アーセナルの試合を取材した。

今シーズン、ウェストハムはアーセナルを2度、破っている。カラバオカップ4回戦ではホームで3-1の勝利。昨年末に行なわれたリーグ戦は敵地で2-0の快勝だった。

今回のホームでの一戦でウェストハムは、大勢の熱狂的なファンの前でプレーした。しかし、チームの中心選手であるルーカス・パケタが負傷により欠場。私は、ハマーズがアーセナル相手に3連勝を挙げられるとは思えなかった。

一方のアーセナルは前節、首位のリバプールに3-1で勝利した直後の試合だ。アジアカップを終えてチームに帰ってきた冨安健洋のプレーを見たかったが、ウェストハム戦ではメンバー外。復帰にはまだ少し早かったようだ。

【動画】まさにスーパーゴール!ライスが古巣相手に鮮烈ミドル!セレブレーションは…
そしてウェストハム対アーセナル戦での注目はやはり、昨年の夏にウェストハムからアーセナルに移籍したイングランド代表のMFデクラン・ライスだろう。カラバオカップでの対戦では、古巣のファンから彼へのリスペクトが感じられたが、昨年末のエミレーツでの一戦では、彼に対するファンの敬意はほとんどなかったように感じた。

実際に今回もライスがボールを持つと、ハマーズファンから彼に大ブーイングが浴びせられた。しかし65分、25歳のMFはそれを吹き飛ばすかのように、ペナルティエリア手前から見事なミドルを叩き込んだ。得点後、ライスは古巣への敬意を表してゴールセレブレーションを行なわなかった。

結局、アーセナルが6-0の圧勝。ウェストハムのファンにとっては悪夢のような試合になった。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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