米CPI、1月3.1%上昇 利下げ観測後ずれ ドル高進行

[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.1%上昇した。伸びは前月の3.4%上昇からは鈍化したものの、主に住居費の上昇で市場予想の2.9%を上回った。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が今年上期に利下げを開始するという観測を変える公算は小さいとみられる。

前月比も0.3%上昇した。予想は0.2%上昇だった。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比3.9%上昇と、伸びは12月から横ばい。前月比では0.4%上昇。12月の0.3%から加速し、昨年5月以来の大きさとなった。予想はそれぞれ3.7%上昇、0.3%上昇だった。

プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は「過剰に反応し、インフレが復活しつつあるとの見方に飛びつかないことが重要だ」とし、「FRBが重視するコア個人消費支出(PCE)価格指数にとって、それほど重要でない部分の上昇が背景にあった。先行指数を踏まえると、こうした部門の価格上昇は向こう数カ月で緩和していく」と述べた。

CPIを受け、金利先物市場ではFRBがインフレ率の低下に十分な自信を持って利下げを開始する時期が6月になるとの見方が強まった。従来は4月30日─5月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが開始されるとの見方が優勢だった。

外国為替市場ではドルが対円で上昇し、昨年11月以来初めて150円台に乗せた。

<前年比の伸び、ピークから6%ポイント鈍化>

CPIの前年同月比での伸びは、2022年6月に付けたピーク(9.1%)から鈍化。イエレン財務長官は「1月のCPIの前年比での伸びは3.1%と、22年6月に付けたピークを6%ポイントも下回った」とし、インフレとの闘いに進展が見られていると指摘。「インフレを低下させるためには景気後退が必要との見方も出ていたが、景気後退は顕在化していない」と語った。

バイデン大統領は声明で、前年比での伸びの鈍化に言及すると同時に、インフレ引き下げに向け「まだやるべきことは残っている」との認識を示した。

<住居費や食品上昇、ガソリンは下落>

1月は家賃や宿泊費などを含む住居費が大きく上昇。先週発表された新たなウエートでは、住居のシェアが引き上げられ、新車と中古車のシェアが引き下げられた。これを受け、1月は住宅費がCPIの上昇分の3分の2以上を占めた。

帰属家賃(OER)は0.6%上昇。伸びは前月の0.4%から加速した。

食品は0.4%上昇。冬季の悪天候が一部要因となり、伸びは過去1年で最大となった。砂糖や油脂が上昇したほか、ノンアルコール飲料が1.2%、果物・野菜が0.4%上昇した。一方、穀類などは下落。肉・卵・魚は横ばいだった。

ガソリンは3.3%下落した。

このほか、自動車保険料が1.4%上昇。娯楽、通信、航空運賃、教育なども上昇した。一方、中古車とトラックは3.4%下落。1969年5月以来の大幅な下落となった。衣料品も下落。約3年ぶりの大幅な下落だった。

財(モノ)の価格は0.3%下落。12月は横ばいだった。

サービス価格は0.7%上昇。伸びは12月の0.4%から加速し、1年ぶりの大きさとなった。

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