氷見、水道供給を強靱化 給水車増、耐震化見直し 市当初予算案

  ●広域断水、教訓に

 氷見市は能登半島地震に伴い市全域で発生した断水の教訓を生かして、水道の供給体制の強靱(きょうじん)化を図る。新年度、加圧式の給水車を増車し、水道管路の耐震化計画を見直す。老朽管約2.4キロも更新する。13日発表した2024年度当初予算案に関係費を計上した。

 加圧ポンプを装備した給水車は公共施設や病院などの受水槽への補給、応急給水用のポリタンクの給水を短時間で行える。新たに1台を導入して2台にする。

 同市では発災後、約1万4000世帯が一時断水し、完全復旧に20日間を要した。市民だけなく、病院や福祉施設に水を供給しなければならず、他市から加圧式給水車の応援を受けてしのいだ。

 林正之市長は会見で、病院の人工透析患者に影響しかねなかったとし「大規模断水には1台だけではまかないきれない。2台を配置しておきたい」と説明した。

 現行の管路耐震化計画は2031年度までに27キロある基幹管路のうち約5キロを更新する内容だった。林市長は「市民の負担にならない形で耐震化を少しでもスピードアップする方法を考えたい」と述べた。

  ●一般会計過去最大265億円

 氷見市の当初予算案は一般会計が前年度比13.1%増の265億4400万円で過去最大となった。能登半島地震対策に22事業46億3842万円を計上。1月補正と2月補正を含めると約68億円で、林市長は会見で「オール氷見で苦難に立ち向かう『がんばろう!氷見』の思いを込めた」と説明した。

 公共インフラの本復旧に33億7811万円を計上。市道は1月末時点で113路線が損壊、漁港施設5カ所、都市公園・施設5カ所、農業用水路・用排水路100カ所以上、全域の下水道施設で被害が出た。林市長は1年程度で元の姿に戻したいと説明した。

 被災者支援ではクラウドファンディングを活用した事業者の復興事業に最大10万円助成。自宅が全半壊した児童生徒の給食費を実質無料にする。住宅耐震化促進事業費を前年度より大幅に増やした。

 防災対策強化では、防災士と一般市民が参加したセミナーを開催。要支援者の個別避難計画を作成して訓練も行う。

 一般財源確保のため財政調整基金から5億円、ふるさと応援寄付金を元にした各種基金から6億円を繰り入れた。

 事業会計と特別会計を加えた全会計の予算総額は451億1282万円で前年度比7.7%増となっている。

© 株式会社北國新聞社