備蓄倉庫と発電機整備 済生会富山病院、災害拠点病院目指す

新築した災害用備蓄倉庫=富山市の済生会富山病院

  ●元日「想定外」の500人避難

 富山県済生会富山病院(富山市)が災害拠点病院の認定を目指し、設備投資を進めている。今年度内に災害用備蓄倉庫を完成させ、高出力の発電機を導入する。能登半島地震が発生した元日に約500人の避難者が病院に殺到する「想定外」の経験を受け、大規模災害発生時の対応計画を見直す。

 災害用備蓄倉庫は昨年から着工しており、鉄骨造2階建てで、延べ床面積は約250平方メートル。1階部分はシャワー室や炊事場もあり、帰宅できなくなった職員の宿泊スペースや救急車両用の車庫として活用する。2階の2室を備蓄倉庫として活用し、保存食や毛布、医薬品などを保管する。

 発電機はガスで稼働し、最大450キロワットの出力で、病院で使う電力の約6割をカバーできる。平時から稼働させ、ガス代の増加を加味しても年間約1千万円の電気代節約につながる。3月から運用を開始する。

 県済生会富山病院は海岸から約3キロ南の富山市楠木に立地している。元日は富山県に津波警報が出されたこともあり、付近住民らが大勢訪れた。避難者約500人のうち、約130人が院内で一夜を過ごした。医師や看護師、職員らが体調確認などの対応に追われた。

  ●食料足りず協定締結へ

 同病院によると、院内に備蓄していた食料だけでは足りず、近くのスーパーから提供してもらったパンや飲み物を配布した。今回の経験を踏まえ、このスーパーと災害協定締結に向けた話し合いを進めている。

 前田伸明経営企画室長は「想定を超える人が一気に駆け込んできた。たまたま元日だったから対応できたが、外来診療のある平日だったら無理だったと思う」と振り返った。県など関係機関と災害対応の検討を進めていくとし「あらゆる事態に対応できるよう改善していく」と話した。

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