大規模施策の計上見送り 西部緑地公園、消防学校…

  ●地震の影響見極め

 能登半島地震を受け、石川県が西部緑地公園の再整備や県消防学校の移転新築など大規模プロジェクトの新年度当初予算案への計上を見送ることが13日、分かった。今回の震災が県の財政に及ぼす影響を見極めた上で、実施の優先順位を検討する。震災対応には国が財政支援するが、県も貯金に当たる財政調整基金の大半を取り崩さざるを得ない見通し。長期に及ぶ「復旧・復興」と「県の発展」のバランスをいかに取るかが課題となる。

 当初予算案計上が見送られる事業は、西部緑地公園、県消防学校のほか、県社会福祉会館の移転新築、能登北部保健福祉センターの移転新築などとなる。いずれも地震前までは、新年度に基礎的な調査や設計に取り掛かる方向で準備が進められていた。

 このうち県立野球場の建て替えや県産業展示館1~3号館の統合を含む西部緑地公園の再整備構想は、人件費や資材費の高騰でコストが膨らむことが確実視され、先送り論が浮上した。

 県消防学校は金沢市二日市町のいしかわ農業公園用地に移転整備する方針が決まっている。だが、地震で内灘町などが液状化被害に見舞われたことで、地盤が弱い同公園用地での防災拠点整備には県議会などで異論が出ることも想定される。

 県社会福祉会館は老朽化のため金沢市内での移転を計画し、能登北部保健福祉センターは輪島市中心部から能登空港隣接地へ移る予定だったが、いずれも被災地復旧を優先する。

 県は新年度当初予算案を地震対応と人件費などの義務的経費、北陸新幹線県内全線開業の対策費などに絞った「骨格的予算」と位置付けている。

  ●基金の大半取り崩しへ

 一方、国からの復旧・復興費により総額は県政史上初めて1兆円を超える規模となる見通し。国施策の地方負担分や県独自の被災者支援策がかさむことから、収支均衡の達成には残高144億円の財政調整基金のほとんどを取り崩す必要が生じた。県幹部は「政策予算を計上する6月補正前に財政への影響を精査し、大規模プロジェクトの扱いを決めたい」と話した。

 

 ★財政調整基金 災害時の緊急的な支出や不況による税収減、感染症対策などの不測の事態に備えるため、自治体の判断で積み立てる基金。地方財政法は、決算時に生じた剰余金の半額以上は基金として積み立てるか、地方債の返済に充てるよう定めている。

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