観光大使・上野樹里さん ふるさとの兵庫・加古川巡りラジオ番組収録 あふれるアイデア 地元愛たっぷり

ラジオ収録でニッケ印南工場を訪れた俳優の上野樹里さん=加古川市米田町

 兵庫県加古川市出身の俳優上野樹里さん(37)が、FMラジオの番組収録ロケで、同市を訪れた。新たな観光スポットを興味深そうに散策し、子どもの頃の思い出話を交えながら高校生とは談笑。一日かけて古里の魅力を深掘りした。上野さんのロケに記者も同行した。(児玉芙友)

■ニッケ工場、観光農園、東播磨高校へ

 「おはようございまーす」

 上野さんが勢いよく会議室の扉を開けた。黒いカーディガンに、赤茶色を基調としたハイネックのセーター。耳元には大ぶりのアクセサリーが光る。親しみのある口調はテレビで見る上野さんそのものだ。周囲が一瞬で華やいだ空気に変わった。

 上野さんは加古川観光大使を務める。自身の番組でぜひ地元をPRしたいと、ロケが実現した。

 最初に訪れたのは「日本毛織(ニッケ)印南工場」(同市米田町)。

 「ニッケといえば、地元の人にとってはショッピングセンターですが、毛織りの会社なんですよ」と明るく紹介した。ニッケとの縁は深く、上野さんがディレクターを務めるアパレルブランドで、同社の羊毛生地を取り扱っているという。社員にニッケの歴史や羊毛に関する最新情報を尋ねた。

 優しい目で問いかける上野さん。返ってきた答えをさらに広げる形で会話が進んでいく。羊毛に関する豊富な知識、話題の引き出しの多さに驚いた。

 続いて「みとろフルーツパーク」(同市上荘町見土呂)を訪問。4月にグランドリニューアルを控える園内を散策した。植物が生息するグラスハウスでは、施設スタッフからリニューアルのポイントを聞き、「こんな施設あったら子どもたちも楽しいだろうな」と話していた。

 園内のカフェでは、地元で採れた野菜を使った直径50センチのピザを頰張った。「見た目だけでも鮮やかで楽しい」「葉野菜の苦みがおいしい」と「食リポート」を届けた。食材を提供する農業法人の牛塚敦子さんは、上野さんと面識があり、収録に参加。上野さんは牛塚さんと一緒に畑でパプリカの苗を植えた思い出を振り返った。

 さらに東播磨高校(稲美町中一色)を訪問、放送部と軽音楽部にインタビューした。

 全国大会優勝経験のある強豪の同校放送部。萩麻悠子部長(17)と岡田一樹副部長(17)に放送室のスタジオで、練習方法などを尋ねた。岡田副部長が、アナウンスで標準語のイントネーションは難しいと言うと、「分かる、分かる」と、すかさず上野さんも相づちを打ち、盛り上がっていた。

■取材を終えて あふれるアイデア次々提案

「上野さん、観光大使というよりコンサルみたい!」

 収録現場で、ゲスト出演した一人が発した言葉に、その場の全員がうなずいた。というのも、企業コンサルタントのように、上野さんが会う人会う人に、新たなアイデアを提案するからだ。

 ニッケでは、専門性の高い話をしているにもかかわらず、現場の技術者たちの話をさらに深く聞き、分かりやすい解説を交えながら、話題を広げていく様子が印象的だった。

 「あそこの企業とつながればもっと大きな規模で、できますよ。やらなきゃもったいない」。テンポよく出てくる言葉には説得力があった。

 地元・加古川への思いに話が及ぶと、上野さんは少し早口になる。熱い思いが、全国に発信されるのが待ち遠しい。

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 番組は全国31のFM局で放送されている「Juri's Favorite Note(ジュリズ・フェイバリット・ノート)」。上野さんがパーソナリティーを務める。毎週、スタジオにゲストを迎え、トークを展開する。兵庫県のFM局「Kiss-FM」では日曜午前9時から30分間の放送。加古川・稲美のロケは18、25日に放送予定。

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