武蔵野市 小美濃市長が表明 外国人含む住民投票条例 議論を凍結

武蔵野市で議論されてきた、外国人にも投票権を認める住民投票制度について、小美濃市長が「大きな混乱を招く恐れがある」として、議論を凍結させると表明しました。

(武蔵野市 小美濃市長)
「いまここでまた再び住民投票条例の議論を始めれば、大きな混乱を招くという恐れを私は感じている。なので、いったんここはクールダウンをするという意味を込めて凍結したい」

2021年、武蔵野市の松下前市長は、在住3カ月以上であれば、外国籍の人にも投票権を認める住民投票条例案の目指すとし、市議会に条例案が提出されましたが、反対多数で否決されました。

(武蔵野市 松下市長(2021年))
「国籍を問わずに新たな市民参加の手段を増やす。市民の皆様から改めてご意見を伺うなど、また検討を重ねていきたい」

しかし、その後も議論は進められ、去年7月からは、新たな住民投票条例の制定に向けて論点を整理する有識者会議が開かれ、対象となるテーマや投票資格に外国人を含めるかが議論されてきました。ところが去年11月、制度の導入を意欲的に進めていた松下前市長が、衆院選に出馬するとして市長を退職。

(武蔵野市 松下市長(2023年))
「まあ、心残りがあるとすれば、やはり自治基本条例に基づく住民投票制度。いま投票制度に関する有識者懇談会も進めていただいておりますので、その後、市民熟議につなげていただきたい」

そして去年12月の市長選挙で、「市民を分断するなら凍結する」と訴えて当選した小美濃市長は、2月13日の会見で「市民から不安の声が多く、議論を進めるには時期尚早だ」と表明しました。

(武蔵野市 小美濃市長)
「選挙期間中も住民投票どうするんだとそういう意見がずいぶん寄せられてきて、これはまだまだ市民のなかにこの議論を持ち出すのは時期尚早だなと思っている」

これまで有識者会議で出た意見や議論については、「市民が熟議できる状況になれば活用したい」と述べています。

武蔵野市の住民投票制度の検討は、これまでに複雑な経緯を辿ってきました。振り返ります。

議論の発端となったのは、2021年12月、松下前市長が「多様性を認め合う町づくり」を掲げ、『国籍に関わらず』在住3カ月以上の住民に住民投票を認める条例の制定を目指すと表明したことでした。この条例案に対し、SNSなどで「外国人参政権につながる」といった反対意見が出始め、条例案の行方が全国的に注目されました。

そして市議会に提出された条例案は、本会議で反対多数で否決されたんですが、松下前市長は再度、条例の制定を目指すと表明し、有識者会議を開くなど、制定に向けた議論を意欲的に進めていました。

ところが去年11月、松下前市長は、衆院選に出馬することを理由に突如、市長を退職。これに伴って翌月に行われた武蔵野市長選挙では、住民投票制度の是非も争点になりました。その結果、松下市長の後継候補は破れ、議論の凍結を公約に掲げていた小美濃さんが当選し、今回の議論凍結に至ったというわけです。

そしてここで注目したいのが、去年12月に行われた市長選挙の投票率とそれぞれの得票数です。投票率は半数に満たない44.77%。2人の票数はわずか339票差でした。選挙による僅差の結果が、市政の政策方針にも大きく影響すると言えますね。

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