大盛り洋食、愛され復活 昨夏閉店「喫茶リンド」再開へ 北海道出身・成田さん、後継募集サイトが縁結び 兵庫・豊岡

リンドを引き継いだ北海道室蘭市出身の成田豊さん=豊岡市若松町

 大盛りのメニューで市民らに愛されながら、昨年夏に閉店した「喫茶リンド」(兵庫県豊岡市若松町)が、今年3月中に再オープンする。北海道室蘭市で洋食店を経営していた成田豊さん(58)が後を継ぎ、1番人気だった巨大唐揚げを守るとともに、洋食を中心に独自の味で勝負する。「繁盛店を引き継ぐのはプレッシャーだが、前の良さを残しつつも、老若男女問わず訪れやすい店にしたい」と意気込む。(丸山桃奈)

 メニューは、牛すじやシーフードのカレー、地中海風のパスタ、大エビのフライ、熟成させたロースの厚切りトンカツなど。拳ほどの大きさがあった唐揚げの定食は量をそのまま引き継ぐ。カレーと丼物、パスタ類は大盛りでも料金を上乗せせず、セットのご飯もおかわり無料。価格は千円以内を中心にする。

 朝はホットサンドや和定食などを提供。夜はアルコール類やおつまみメニューを加え、宴会などにも対応する。

 店内は「昭和レトロ」な空間を維持しながらも、シンプルに改装した。席数は40で旧リンドから半分に減らし、雑誌や漫画はほとんどなくした。支払いは現金のみだったが、カード決済や電子決済も導入。Wi-Fiも取り入れた。

 成田さんは東京での料理修業を経て、40代で室蘭に戻り、洋食店を開いた。新型コロナウイルス禍の影響で4年前に店を閉じた。収束後に札幌市での新規出店を考えていたが、後継者を確保できない飲食店が全国に多いことを知り、後継ぎを募集するサイト「継業バンク」に登録した。

 室蘭で営んだ洋食店で、ご飯のおかわりを無料にしていたという成田さん。同バンクで後継者を求めるリンドを見つけ、経営姿勢にも共感し、昨年10月末に承継を決めた。成田さんによると、豊岡と室蘭の人口はほぼ同じで温泉があり、環境も似ているという。

 店名は「そのままの方が前オーナーもうれしいのでは」と変えなかった。今月9日からプレオープン。告知をしなかったものの、店の看板がある駐車場入り口に「営業中」の旗を立てると、次々に来店があった。スタッフ募集のチラシを市内に配ったところ、勤務条件よりも開業日の問い合わせが多く、地元で愛されてきた店だったことを実感したという。

 成田さんは「(旧リンドの)強みを受け継ぎながらも、独自の良さを増やして変えていく」と強調。「雰囲気やおいしいものを食べて幸せな気持ちになったり、息抜きになったりできる店を目指したい」と話す。

 プレ営業期間はランチのみ(午前11時~午後3時)。19日からモーニングメニューの営業を始め、夜の営業も行う予定。当面の間は不定休だが、平日は開店する。

 3月以降の営業時間は午前7時半~午後8時。定休日は未定。リンドTEL0796.37.8518

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