全国初、高校生の通学定期代を無償化 神戸市24年度予算案 若者や子育て世帯の支援に重点

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 神戸市は14日、総額1兆9270億円の2024年度当初予算案を発表した。人口減少対策として若者や子育て世帯の生活支援に重点配分し、公共交通機関で市内の高校に通う生徒の通学定期代を無償化。企業に新入社員らの住宅手当を増やす費用を助成するなど、次代の地域を担う人材の定着を図る。神戸空港は来春の国際チャーター便就航に向け、新ターミナルの建設を本格化させる。

 市内の人口は昨秋、22年ぶりに150万人を割り込んだ。最新の将来推計では、70年には88万9千人まで減り、年少人口(15歳未満)の割合は現状から約4ポイント減の7.4%を見込む。

 子育て世代に選ばれるまちを目指し、市内在住の高校生が電車やバスを使って市内の学校に通う場合、その定期代を無料にする。全国初の取り組みで、24年度は9月から実施を予定。対象者は約2万900人で、初年度の経費は12億3千万円を見込む。

 通年では約20億円を要するが、大阪府が始める高校授業料の完全無償化で、志願者数の減少が見込まれる市内の私立高校を側面から支援する。

 人材不足が深刻な中小企業を後押しするため、市内に住む入社3年以内の若手社員(29歳以下)に対し、企業が支給する住宅手当の半額分を上乗せできるよう、月額で1人当たり最大1万4千円を補助する。助成額は高齢化率が高い中央区以西などで最大にすることで若者の流入を促す。

 25年春に国際化する神戸空港では、現ターミナル西側に国際チャーター便が乗り入れるサブターミナルの建設が始まる。大阪・関西万博の開幕に合わせた利用開始を目指す。30年前後の国際定期便就航を見据え、海外エアラインの誘致活動にも力を入れる。

 市税収入は23年度から16億円減少し、3133億円を見込む。6月に予定される定額減税で個人市民税が69億円減ることなどが影響した。市債(借金)残高は、都心・三宮再整備事業の進展などに伴って9年連続で増え、1兆3554億円に膨らむ見通し。人件費の削減や事業の見直しなどで約36億円を捻出し、収支均衡を図る。(金 旻革)

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