英インフレ率、1月は前年比4%で横ばい 年内利下げ観測強まる

Suban Abdulla

[ロンドン 14日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が14日発表した1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比4.0%で昨年12月と同じだった。

ロイターのエコノミスト調査では4.2%に加速すると予想されていた。統計の発表直後、ポンドは対ドル、対ユーロで下落。インフレ率は今後さらに低下すると見込まれ、市場ではイングランド銀行(中央銀行)の年内利下げ観測が強まった。

6月の利下げ開始の確率は約72%となった。13日時点では1月の米CPI上昇率が予想を上回ったことを受けて40%となっていた。

EY・ITEMクラブのチーフエコノミックアドバイザーのマーティン・ベック氏は「今回のインフレ統計は、利下げ開始時期が近づいていることを中銀金融政策委員会に再確認させるだろう」と語った。

変動の激しい食品、エネルギー、アルコール、たばこを除くコアインフレ率も前年比5.1%と12月と同水準だった。

<サービス価格は加速>

ただ、英中銀が政策運営で注視するサービス価格上昇率は6.5%で12月の6.4%から加速した。

中銀は、サービス部門のインフレ率の大部分を占める賃金の急速な伸びが経済全体のインフレ圧力を高めることを懸念している。

統計局が13日発表した2023年10─12月の賃金はボーナスを除くベースで前年同期比6.2%上昇。伸び率は22年8─10月以来の低水準となったが、中銀がインフレ率の持続的な2%回帰につながると見なすペースの約2倍だった。

ハント財務相は「インフレ率は一直線に下がることはないが、計画は順調だ。われわれはインフレ率を11%から大幅に下げることに成功した。中銀は数カ月のうちに2%程度まで下がると予測している」と述べた。

パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、サミュエル・トゥームズ氏は、英中銀が注視しているコアサービス価格が前月比0.2%下落したと推計した。

1月の食品インフレ率は前月比0.4%低下。前月比低下は21年9月以来初めてで、ここ数年の高インフレに悩まされてきた消費者にとって喜ばしいニュースとなった。

統計局が公表した1月の生産者物価は投入指数が前年比3.3%低下した。20年5月以来の大幅なマイナスで、インフレ圧力緩和を示す結果となった。産出指数も0.6%低下し、20年11月以来の大幅な下落となった。

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