淡路市が暴力団「俠友会」事務所を解体へ 改修・活用は建築基準法違反多く断念

淡路市が解体の方針を決めた旧侠友会事務所=淡路市志筑

 指定暴力団神戸山口組の本拠地として直系団体「俠友会」の事務所に使われていた兵庫県淡路市志筑の建物について、2022年1月に土地とともに購入した淡路市は解体する方針を決めた。市は当初、建物を改修した上で災害時に職員が待機する場所として活用する計画だったが、建築基準法に違反する部分が多いことが判明。それらを改善するための費用が高額になることから、より安い解体を選んだ。24年度以降の着手を予定する。

 事務所は、15年に指定暴力団山口組が分裂した後、離脱した組長らが立ち上げた神戸山口組が本拠地として使用。毎月の定例会などが開かれていた。

 16年、地元住民が「暴力団追放淡路市民の会」を結成。17年に、暴力団追放兵庫県民センターの「代理訴訟制度」で事務所の使用差し止めが認められた。20年に神戸山口組が特定抗争指定暴力団になり、淡路市が警戒区域に指定されたことにより、事務所への立ち入りは禁止になった。

 淡路市は、事務所が別の暴力団の手に渡るのを防ぐため、土地と建物を購入した。

 建物は鉄骨3階建て、延べ床面積約480平方メートル。土地の面積は近隣の駐車場含め計約410平方メートル。

 市は購入後、災害が起きた際の職員用待機所に使うことを想定。しかし、22年度に民間事業者に依頼して調査したところ、建築基準法を満たしていない部分が複数あることが明らかになった。

 違法部分は、建物の高さが隣接地に一定時間以上の日影を生じさせる▽階段に手すりがない-など。

 全て同法に適合させるための改修費は約6千万円に上り、一方で解体した場合の費用はそれより安い2700万円ほどだったため、計画を変更することに決めた。解体後の土地の活用方法は白紙に戻し、現在は未定という。

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