神戸市西区の精神科病院「関西青少年サナトリューム」に入院中だった兵庫県明石市の岡田幸子さん=当時(47)=が死亡したのは違法な身体拘束が原因として、父親が14日、同病院を運営する「東峰会」(同区)に約9200万円の損害賠償を求め神戸地裁に提訴した。
訴状などによると、統合失調症のため同病院への入院歴があった岡田さんは2021年3月30日、持病が悪化したため同病院に医療保護入院した。4月2日、病院医師は「多動または不穏が顕著な状態」と判断し、両手足と胴の5点を拘束した。拘束は7日間続き、岡田さんは同8日に肺塞栓症で死亡した。
遺族は、身体拘束に必要な要件を満たしておらず、血栓予防の措置や観察などを怠ったことで死亡したと主張している。
提訴後の記者会見で岡田さんの妹は「なぜ姉は亡くならなければいけなかったのか。病院から説明はなく、このままでは浮かばれない」と涙をこらえて話し、妹の夫は「病院は拘束のない治療を考えてほしい」と訴えた。
法人側は「訴状が届いていないのでコメントを差し控える」としている。