被災に耐え100歳に 輪島・町野の竹中さん 2次避難先で家族と祝う

家族でケーキを囲む竹中三郎さん(右)=白山市内の宿泊施設

 能登半島地震で被災した輪島市町野町金蔵の農業竹中三郎さんは14日、2次避難先である白山市尾添の一里野高原ホテルろあんで、100歳の誕生日を迎えた。ホテル側が昼食にケーキを準備して祝福し、同所に避難中の家族や被災者約30人が一緒に節目を祝うとともに、一日も早い能登の復興と、竹中さんが元気に輪島に帰ることができるよう願った。

 竹中さんは金蔵で生まれ育ち、1945(昭和20)年から農業に従事してきた。40年前には金蔵で最初にブルーベリーの栽培を始め、今は栗などの果樹を主に栽培している。

 昼食時には、一緒に避難している長男の松雄さん(79)と長女の啓子さん(74)に見守られ、ケーキに立てられたろうそくの火を吹き消した。ケーキは竹中さん家族だけでなく、同じホテルに滞在している子どもたちにも振る舞われた。

  ●「一日も早く帰りたい」

 竹中さんは「震災で大変な中、みんなに祝ってもらってありがたい」と感謝した。「一日も早く輪島に帰り、果樹の枝切りをしないといけない」と、望郷の思いを語った。

 松雄さんは「地震の時はもうだめかとも思ったが、この日を迎えることができて良かった」と笑顔を見せた。啓子さんは「父は決めたことは貫き通す人。故郷に帰る日まで長生きしてほしい」と願った。

 ホテルの山﨑太一朗社長(53)は「震災以降に悲しいニュースが多い中、明るい話題を共有したかった。前向きな気持ちを大切に、みんなで助け合っていきたい」と語った。

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