大阪府「大きな節目」、借金した5202億円を15年で復元

大阪府の定例会見が2月14日に実施され、令和6年度当初予算案を説明。府が2001年から2007年にかけて減債基金から借り入れた5202億円を、今年度末に全額復元すると発表した。

定例会見のフリップより「減債基金の復元完了」について(2月14日・大阪府庁)

府の財政は、法人税などバブル崩壊後の景気低迷による府税収入の急激な落ち込みや、右肩上がりの経済成長と豊富な税収を前提に府自身があれもこれもとおこなってきた施策構造からの転換の遅れなど、さまざまな要因により1993年から収支不足が発生。

これを、府債の償還財源を確保するために設置された減債基金からの借り入れで補填。借入累計額は5202億円と多額に膨らんでいた。

府ではこれを2008年からストップ。「財政再建プログラム」によって、職員の給与をはじめ、事務事業や出資法人、公の施設の見直しなどさまざまな改革で発生した決算余剰金(黒字になった部分)を、財政調整基金(収支不足が発生した場合に使う基金)と折半し、毎年300億前後を減債基金(償還財源を積立てる基金)の復元にあててきた。

スタートから15年が経過した今年度末、ようやくこの借り入れ分を全額復元。吉村洋文知事は、「大きな批判があっても府政、議会、職員が今の大阪の税制を立て直すという強い共通認識の下で気持ちと熱意を持って改革をおこなってきたことが大きい。かなり腹をくくった改革だったという思いがあり、敬意を表したい」と称えた。

また、これからの財政については、「もう200億円、300億円の穴埋めをしなくていい環境になり、次世代の子どもたち、授業料の無償化や街づくりにもようやくお金を使えるようになった。非常に大きな節目の時期だと思う。大阪の次の成長につなげていきたい」と話した。

なお、これで目的が達成されるため、府は財政運営基本条例を一部改正。今後、決算余剰金は全て財政調整基金に編入されるという。

取材・文・写真/岡田由佳子

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